今日は豊島与志雄の「樹を愛する心」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
翻訳家の豊島与志雄が、庭の木について記しています。はじめはごく普通の随筆かと思ったんですけど、桃の木ってこんなに幻想的な存在なんだろうかと、読んでいてだんだん不思議に思えてきました。
そういえば、桃って古い文学の中ではいちばん神秘的な存在です。古事記では、地獄から生還をするときに、黄泉の追っ手(黄泉醜女)たちに、この桃を投げ与えて逃げおおせた。地獄から脱出するには、桃が必要なんです。桃が。日本の昔話では、桃から赤ん坊が産まれたりする。
豊島与志雄の、庭になった桃の味についての描写がみごとでした。本文こうです。
街で売ってる水蜜桃ほど甘味はないが、それよりも遙にすぐれた新鮮さと甘酸味とがあった。
この前後の描写がみごとなんです。自分でごはんをつくったときの楽しさ以上に、自分で植えた木のくだものは、特別な味がするんだろうなと思いました。はい。絵画でいうと、青木繁みたいに美しい随筆です。関係無いですけど、青木繁と水木しげるってなんか似てますね、名前。
豊島与志雄は翻訳家で、オリジナルの文章を書くときは、とても写実的なんだなと、ちょっとした自然界をことこまかに描きだすのがすてきなんです。最後の数行を読んでいて、ああっ、と叫んでしまいました。さすがユーゴーの『レ・ミゼラブル』を全文翻訳した人だと思いました。
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(約10頁 / ロード時間約30秒)
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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