今日は高村光太郎の『智恵子抄』その18を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
日本近代文学のいちばんの魅力は、現代人よりもはるかに密接に、自然界を描きだしているところなんです。ただ、ここにも評論家の批評というのがあって、それは、自然界を、絵画のように鑑賞しているだけで、なんというか、ヘミングウェイの「老人と海」のように、自然のものとの対峙が無いところに、物足りなさというか、ただ見ているだけという、迫力の乏しさがある……という指摘で、それはまさにその通りだなと、近代文学を読むようになって、思います。
いや、賢治はじっさいにどうやって自然界の猛威を人間が克服するのか、ということを克明に描きだしたわけで、例外はもちろんたくさんあると思うんですけど、今回の高村光太郎の詩を読んでいて、詩人がこの問題と直接的に格闘しようとしている気配があって、魅了されました。この次の一歩は、自然界から遠のいた現代人には書けないわけで、この先をほんとに読みたいんだがなあーと、思いました。
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月別アーカイブ: 2016年3月
それから(5) 夏目漱石
今日は夏目漱石の「それから」その5を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
代助は、平岡の夫婦を助けようと思って、金を工面しようとするんですよ。ところが、働いていないから金が無い。それでいつも親しい兄に、金を用立ててくれないかと、頼みに行った。すると、兄はそういうことは止めておいて、静観していなさい、と言った。このやりとりは、なかなか興味深いものでした。
あの、上田敏が『海潮音』という詩集で、いちばんはじめにとりあげた詩人ガブリエーレ・ダンヌンツィオのことを、漱石も書いているんです。このダンヌンツィオというのがやばい男で、wikipediaによると、イタリアのファシズムの先駆者だった……そうなんです。
歴史的にはそういう位置づけとなったので、大戦後には彼の詩や小説も、ほとんど読まれなくなった、ということらしいんです。しかし、100年前にはずいぶんすごい人気だったらしく、上田敏、漱石の弟子の森田草平などがこのダンヌンツィオに心酔していたことが明らかなわけです。
漱石は、戦争が嫌いなもんだから、そのダンヌンツィオへの心酔に疑問を投げかけているのであります。代助は、こういうことを考えます。原文はこうです。
……不図ダヌンチオと云ふ人が、自分の家の部屋を、青色と赤色に分つて装飾してゐると云ふ話を思ひ出した。ダヌンチオの主意は、生活の二大情調の発現は、此二色に外ならんと云ふ点に存するらしい。だから何でも興奮を要する部屋、即ち音楽室とか書斎とか云ふものは、成るべく赤く塗り立てる。
代助は何故ダヌンチオの様な刺激を受け易い人に、奮興色とも見傚し得べき程強烈な赤の必要があるだらうと不思議に感じた。代助自身は稲荷の鳥居を見ても余り好い心持はしない。出来得るならば、自分の頭丈でも可いから、緑のなかに漂はして安らかに眠りたい位である。
どうも、ダヌンチオという男は、ブレーキをかけるべきところで無理にアクセルを踏み込んでいるようである。
漱石が現代の状況を見ていたら、どういう疑問を呈したか、ほんとに聞いてみたいなあと思いました。
平岡夫婦は、主人公の住んでいる家の、すぐそばのところに引っ越してきた。どうなるんですかねえ、これ……。三角関係なのにこんなに近くでこう、漱石の「こころ」の友人なんてもう、主人公とふすま一枚しかへだたってない。すっごい近いんです。近い近い。すぐ側で男女3人が密接していたんですよ。
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桜 岡本かの子
今日は岡本かの子の『桜』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
春なので岡本かの子の、桜の短歌を読んでみました。桜はそろそろ見納めのようです。この短歌が印象に残りました。
桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり
淋しげに今年の春も咲くものか一樹は枯れしその傍の桜
しんしんと桜花ふかき奥にいつぽんの道とほりたりわれひとり行く
山川のどよみの音のすさまじきどよみの傍の一本桜
130数句ある短歌を楽しめました。終盤の、迫力のある短歌に圧倒されます。全文は以下からお読みください。
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それから(4) 夏目漱石
今日は夏目漱石の「それから」その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
代助は、ロシアの作家アンドレーフが1908年に書いた『七死刑囚物語』を読んで、その死刑囚になったらどうするだろうと、考えている。なぜ殺される人間に感情移入するかというと、代助の家には暗い過去があるからで、代助はその父や祖父や伯父の暗い人生を詳細に思いだしている。
武家の殺人が、漱石の時代では生生しい過去としてあったわけで、衝撃でした。そのダンテ地獄篇で繰り広げられるような際限ない諍いの世界から、急に翻って、煉獄篇の入口のような、なにもすることがない閑人の世界がひろがってゆくのが、なんだかリアルだと思いました。
友人の平岡は、銀行を辞めてから、ずいぶん調子を崩してしまった。後日、平岡の奥さん三千代が、代助の家にやってくる。平岡の家では、子どものことで不幸があって、そこからどうもうまくゆかない。三千代は、あす引っ越すのだが、すこし金を貸してもらいたい、と申し出るのだった。
この文章が印象に残りました。
代助は両手を頭の後へ持って行って、指と指を組み合せて三千代を見た。三千代はこごんで帯の間から小さな時計を出した。代助が真珠の指輪をこの女に贈ものにする時、平岡はこの時計を妻に買って遣ったのである。代助は、一つ店で別々の品物を買った後、平岡と連れ立って其所の敷居を跨ぎながら互に顔を見合せて笑った事を記憶している。
漱石は、いくつかの作品で、さまざまに三角関係を描いたんだなあと思いました。男二人と女一人という状況の描写が、じつに漱石っぽいんです。
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智恵子抄(17) 高村光太郎
今日は高村光太郎の『智恵子抄』その17を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
高村光太郎は、妻の智恵子の実家あたりから見霽かす風景のことを、詩に描いています。阿多多羅山というのが現代の安達太良山です。
これは、高村光太郎と智恵子が幸福であった頃の詩で、なんだかとても読んでいて楽しかったです。ぜひ読んでみてください。
この大きな冬のはじめの野山の中に、
あなたと二人静かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、
下を見てゐるあの白い雲にかくすのは止しませう。
…………
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それから(3) 夏目漱石
今日は夏目漱石の「それから」その3を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
代助は働けるだけの体と頭とがあるんですが、のんびりしている。これは、現代で読んでもおかしいんだから、当時はよっぽど珍しい生き方だったんじゃないかなあと思うんですけど、本文にこう書いています。
代助は月に一度は必ず本家へ金を貰いに行く。代助は親の金とも、兄の金ともつかぬものを使って生きている。月に一度の外にも、退屈になれば出掛けて行く。
お金がかなり余分にあるもんで、嫂などは、フランスから美しい布を取り寄せて、それを着物の帯にしたりして遊んでいる。その帯の出所をしらべてみると、日本からフランスへ輸出されたものをまた日本に送ってきたものだと判った。
家族みんな好き勝手に趣味をやっている。印象に残ったのは、親子のむかしからの対立のことが、じつに軽妙に記されている箇所です。なんというか、漱石のごく短い一文の、そのひとつひとつにうなるんですけど、原文をそのまんま読まないとどうも、そのおもしろさが伝わらないところが、すごいなと思います。ぜんぜんマネできません。
代助は、地震と、親父の石頭と、戦争が嫌いなんですよ。陸軍軍医の森鴎外と付きあいながら、こういうことがすらすらと書けるところに、漱石文学の自由さというのを感じました。
代助は親から金をもらっているのに、ずいぶん親父にたいしてえらそうで、そこがなんともおもろいんです。親父は、平岡のようにちゃんと働けという。すると、彼はもう仕事で失敗して帰ってきたという。どうしてか、と親父が聞くと、代助はこう答える。原文はこうです。
……
「その代り失敗て、もう帰って来ました」
老人は苦笑を禁じ得なかった。
「どうして」と聞いた。
「つまり食う為に働らくからでしょう」
ふつう、食うために働くから地に足がついて失敗しにくくなると思うんだがなあーと思いつつ、なんだか妙にここが気になりました。働く方が先にあって、食うことがあとからついてくる、ということだってやっぱりあるかもしれん、と思いました。代助のたびたび言う「嫌」というのが、ほんの一文字なのに、ずいぶん面白いんです。ちょっとこれはもう、原文をまるごと読んでもらわないとこの魅力はぜんぜん伝えられません。親父が「誠」って一言いうだけで、もう代助は嫌なんです。わかるなーと思いながら読んでいました。代助は、なんだかすごい人との結婚を、家族から勧められている。
登場人物の名前を見てゆくと面白いんですけど、兄の誠吾、甥の誠太郎、父の幼名は誠之進。で主人公は代助。あまり期待されずに名づけられたんだなと言うのが、名前からしてもこう……。
気まずいはずの家族の状況を、漱石が流暢に書き記しているというのが、興味深いです。たぶん、何十年かあとに、運送や事務において人工知能が、人間以上の仕事をし始めてから、代助のように賢いんだけどとくに働かない人々が増えてくるわけで、その文明の変化の時に、また漱石が注目されるんだろうと思いました。
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偽者二題 芥川龍之介
今日は芥川龍之介の「偽者二題」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
ある映画に描かれていた、詐欺の話しを調べていたら、これを見つけました。これはホントにあった話のようなんです。ホントにあった話って不謹慎というか、いや不謹慎じゃ無くて、気まずい感じが入っていてそこにリアルを感じるんですけど、今こういうだまされ方をする人ってまあ居ないわけで、なんと言ったら良いんでしょうか、時代によってマチガイの発生する場所や方向性がかなりちがうんだなあと、思いました。
芥川龍之介の存在感が伝わってくる随筆でした。
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