今日は鈴木三重吉の「古事記物語」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
これは、日本で編纂されたいちばん古い物語です。それを鈴木三重吉が現代語訳しました。ほかにも多種多様な現代語訳が出版されています。古事記はけっこうムチャなことがいっぱい書いてあって、おもしろいんですよ。ウサギがワニたちを全員だましてさいごに裸にされてしまう話とか、そのウサギを助ける話とか。泣き放題で、わがままし放題の弟、須佐之男命(すさのおのみこと)をお姉さんである天照大神(あまてらすおおみかみ)はどうやって諭して、立派な男にするのか、とか。
古事記は最古の物語なんですが、読んでいてふつうにおもしろいです。天武天皇が命じて稗田阿礼と太安万侶がこれを、日本ではじめて文献化したということになっています。では稗田阿礼が「帝紀」や「旧辞」と言われるものをいったい誰から聞いてきてずっと暗記し続けてきたのかというと不明で、たぶん長らく狩人や農民や漁民などのあいだでずっと口伝えに継承されてきた物語が、稗田阿礼と太安万侶によって編纂され、これが日本の古典として残されてきたと考えるのが自然だと思います。古代人が生きのびるための知恵を集めて物語にしたものである、と考えられる記述が数多く残っています。たとえば、須佐之男命(すさのおのみこと)が対峙した八岐大蛇(やまたのおろち)とはいったいなにを意味するのかというと、大河が氾濫し村を襲ったという事実を、これを八岐大蛇という怪物に見立て、堤防や土嚢を作りあげて治水したという様を、勇ましい物語にしたのではないかという仮説も存在します。島根県は斐伊川の支流である赤川。ここに八岐大蛇伝説が眠るのです。
黄泉の国から脱出する伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、数多くの桃や筍といった栄養の豊富な食材を敵である追っ手に与えることで死を免れた、というような展開があったりして、読んでいてとてもおもしろいです。天皇や神という存在が苦手だ、という人もぜひこの、日本のいちばん古い物語を読んでみてください。興味が出てきたら、原典に近い日本語訳でこの古事記を読んでみるともっとより多くの発見があると思います。古事記は出雲の国のことを書いた物語で、いわば当時絶大な権力を持っていた天皇中心(大和王権)の社会から、地方都市が自由になるために、古事記文化や神道の社会を栄えさせていったようです。今社会の中心となっているのは資本主義なんですが。
漁民と猟師の兄弟の話とか、兎がワニをだます話とか、山火事から逃れる話とか、自然界のことが豊穣に語られています。とにかくエネルギーにあふれた古典だと思います。2013年は、柳田国男の遠野物語が著作権フリーの文献として青空文庫に掲載される年なので、これも今度紹介してみたいと思います。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
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