断片 富永太郎

今日は富永太郎の「断片」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは夢日記のような、不思議な詩です。作中、かなり奇妙な文章が並びます。こんなのです。
 

男の児は、私がこの店の前を通る一瞬間前に美しい川獺を母親として生れた。
 
カワウソのお母さんから生まれた男の子。ほかにも……可愛らしい「ビスケツトの箱の中で」眠る「中年の太つた夫婦」が登場したりします。

私はたゞもの倦い歩行の方向を変へた。そして、燃えるエデンのやうに超自然的な歓喜を夢みながら、悲しんで歩んだ。
 
詩なのかもしれない、と思いながらこの夢日記を読みました。ちょっと調べてみると、富永太郎は夭折の詩人で、ボードレールの詩集を翻訳し、あまたの詩を書いた……かなり有名な作家なんだそうです。
 
ああ、さまざまの日に、指先によつて加へられたやさしさよ! 火よ! 失はれた畜群の夢よ!


 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
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穂孕期 宮沢賢治

今日は宮沢賢治の「穂孕期」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
明けましておめでとうございます。2019年の元旦です。穂孕ほばらみ、というのは稲穂の穂がふくらんでくることを言います。
 
 
これは賢治の風景スケッチです。春と修羅(第三集)の中の、一九二八年七月二四日に記された後期の詩です。春と修羅(第一集)は、こちらから全文お読みいただけます。今年もよろしくお願いいたします。
 
 


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与謝野晶子詩歌集(1)

今日は「与謝野晶子詩歌集」その1を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回から与謝野晶子の詩と歌を読んでゆこうと思います。詩の中にネズミが出てきます。ペストがやっと消えていった時代で、ネズミがこう……猫や家守のように無害な生きものに感じられる社会に到達しているのかな、と思いました。
 
 
与謝野晶子の歌は、現代語のみの知識で読むと、ちょっと意味が判らないんです。けれども詩はほとんど現代語に近いものもあって、日記を読むように読めるんです。神秘的なものから理知的なものまで、幅広い詩歌を楽しみました。全部で250回くらいあるので、一つ一つ読んでみたいと思います。
 
 

 
 
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よこ1   よこ2   よこ3


その1   その2   その3












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保護職工 森竹夫

今日は森竹夫もりたけおの「保護職工」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
このサイトでは、なんだか有名な古典的作家をおもに読んでいるんですけど、今回はあまり知られていない作家の、まるで随筆のように平明な文体の詩を読んでみました。森竹夫とはいったい誰なのかぼくには判りませんでした。1946年の敗戦の翌年に亡くなっている方です。どういう詩人なのか、一作だけではよく判らないのですが、気になるのでこんど調べてみようと思います。どうもプロレタリア文学を主にやっていた詩人のようです。
 
 
七十年後に詩が一つだけ残った作家って、すてきだなあと思いました。
 
 

 
 
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夏の夜の博覧会はかなしからずや 中原中也

今日は中原中也の「夏の夜の博覧会はかなしからずや」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。中原中也の代表作「山羊の歌」もおすすめです。
 
 
中原中也の作品は、その一文だけを切り取ってもつねに美しいと思うんですが、今回の詩はとくにそれが顕著でした。中也の詩や漱石の小説は、宙ぶらりんになった時間の描写が魅力で、そこに独自の詩心があるんだと思いました。
 
 

 
 
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漱石俳句集 夏目漱石

今日は夏目漱石の「漱石俳句集」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
えーと、次回から、漱石三部作の『門』を読んでみようと思います。その前に、ちょっと読んでおきたいものがあったので、紹介します。漱石の俳句です。
 
 
はじめの句は、漱石が子規に宛てて書いた俳句で、
 
帰ろふと泣かずに笑へ時鳥ほととぎす
 
というものです。漱石は、手紙の中に俳句を書いたり、人と一緒に句を書くことが多かったようです。漱石の俳句はものすごくたくさんあるようです。今回は40句だけ読んだんですが、もうちょっと全体的に読んでみたいなと思いました。
 
 

 
 
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桜 岡本かの子

今日は岡本かの子の『桜』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
春なので岡本かの子の、桜の短歌を読んでみました。桜はそろそろ見納めのようです。この短歌が印象に残りました。
 
 
桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命いのちをかけてわがながめたり
 
淋しげに今年ことしの春も咲くものか一樹ひときれしそのそばの桜
 
しんしんと桜花はなふかき奥にいつぽんの道とほりたりわれひとり
 
山川のどよみの音のすさまじきどよみのそば一本ひともと
 
 
130数句ある短歌を楽しめました。終盤の、迫力のある短歌に圧倒されます。全文は以下からお読みください。
 
 

 
 
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