握った手 坂口安吾

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今日は坂口安吾の「握った手」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
読書の魅力は、今の自分と無関係なことを、じっくり見てゆけるところにあると思うんですけど、この小説も興味深かったです。
 
 
坂口安吾が、小説の形式で、若者の恋愛について記しています。坂口安吾にしてはずいぶん初々しい青年を描きだしていて、珍しい作品のように思えました。松夫という青年は、異性にけっして言うべきで無い、ごく小さな問題について繰り返し思考しています。いきなり手と手を繋いでしまったことについて、自分の恋愛感情は俗悪だ、と、考える青年の物語なんです。安吾は、二人の異性に気持ちをかたむける青年の心理を、こう記します。
 
 
  水木由子の手を握った自分の手がケダモノの手のように考えられる。思いだすと赤面せずにいられない。そして、思いだすことが怖しくて、その怯えだけで冷汗をかいた。水木由子は扉にはさんだ手をひきぬくような真剣さで抵抗した。
 
 
なんだか、以下の描写が身におぼえがあるなと思いました。
 
 
  「アナタ、ちかごろ気がぬけたみたいよ。時々フッと消えてしまうみたいよ。ふりむけばちゃんといるでしょう。つまり、アナタ、しょッちゅう放心してるんだわ」「そうでもないです。就職もダメだし、試験もダメらしい。気がめいることが多いので、ついね」彼は仕方なしにヘラヘラ笑って答える。自然に敬語で答えていたりするのである。
 
 
前半部分はどうも、坂口安吾らしくないやと思って読んでいたんですが、後半はやっぱり安吾の迫力が滲み出してきます。本文にこう書いて、ありました。
 
 
  …………こう考えるのよ。永遠の大学生。ステキじゃない」「永遠の三下と同じ意味だね」「よく知ってるわね。悪い方、悪い方へ智恵がまわりすぎるのね。人生は表現の問題だわ。明るく生きよ。詩に生きよ」
 
 
このあとの、女たちの言葉のかずかずが、秀逸でした。
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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