

今日は梶井基次郎の「交尾」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
梶井基次郎が好きなんですけど、この「交尾」というのがほんと良いんです。肺病の流行るさびれた街をゆく、悠然とした猫を、梶井基次郎が描写しています。もうストーリーなんてどうだっていいと思うくらい、その文体が美しいんです……。梶井基次郎は、街をゆく猫がじつに優雅であることを、こう記します。
彼らはブールヴァールを歩く貴婦人のように悠々と歩く。
それから、「巨大な工場地帯の裏地のような」とでも形容したくなるような「露路」に現れる小鳥たちの奇怪さをこう記します。
隣の物干しの暗い隅でガサガサという音が聞こえる。セキセイだ。小鳥が流行った時分にはこの町では怪我人まで出した。「一体誰がはじめにそんなものを欲しいと云い出したんだ」と人びとが思う時分には、尾羽打ち枯らしたいろいろな鳥が雀に混って餌を漁りに来た。もうそれも来なくなった。そして隣りの物干しの隅には煤で黒くなった数匹のセキセイが生き残っているのである。
セキセイというのはとうぜんセキセイインコのことなんですが、あと河鹿というのはカジカガエルのことです。ルリは小鳥のことで、wikipediaに瑠璃色のオオルリの写真が載っています。(あるいはコルリかもしれません)
ところで地球上でもっともはじめに、原始的な歌を歌った生物は、田んぼによくいる、あのカエルかもしれない。世界最古の歌うたいは、じつはカエルだった! ……かもしれない。たしかに考えてみればそれで正解のような気がします。梶井基次郎はそのことをとても詩的に記しています。
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