白痴(4) ドストエフスキー

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今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
将軍の3人娘を描きながら、物語は進展するんです。将軍一家の妹アグラーヤはほんとうに家族から愛されているので、よほど優れたお金持ちの青年が現れないとフィアンセになれない。家族は彼女のために、自分が犠牲になってやろうとちょっと考えている。ドストエフスキーには登場人物がとても多いという特徴があって、たいていの小説には、冒頭に登場人物表が載っていたりします。しかもチョイ役がめっちゃかっこ良かったりするのも、他の小説にはない魅力だとおもいます。
 
 
ドストエフスキーの混沌とした饒舌によって、多岐にわたる人物が描かれてゆく。バラシコフの物語というのがほんの1ページだけ突如描かれるんですが、これが……すごい。どういうことなの……と思ったら、一家の崩壊から生き残った少女が今回の物語のヒロイン、ナスターシャなのでした。
 
 
トーツキイという慈善家が、幼いナスチャ(ナスターシャ)に教育を受ける機会を与えた。そのトーツキイが結婚しようとしはじめたとたんに、少女ナスターシャは、とつぜんこの恩人に会いにいってしまい、さらには彼に対して「声高らかに笑って、毒を含んだいやみを並べ立て」て「結婚させまいと」してしまう。恩を仇で返すようなことを、少女はやってしまう。ナスターシャは「徹底的に向こう見ずな女であり、かてて加えてこの世のものを徹底的に軽んじている」
 
 
つらい時代を経て優しい少女になったのでは無くって、なんだかややこしい……悲劇のヒロインになって現れてくる。ただ、ナスターシャはちゃんと教育を受けた女なので、恩人に危害を加えたりはしない。ではどうしてそのような奇行に出てしまうのかというと「ものをも尊しとせず、自分自身をすらも極端に軽んじていた」からだと、本文に記されています。えーと、あと作中の犬儒学派というのは、ディオゲネスのことです。
 
 
ナスターシャは教育を受けさせてくれた年上のトーツキーに対して、利害とは無関係に「恐ろしく上手うわてに出る」んですけど、こういうドストエフスキーの表現は、現代で言うと学校教育の無償化とか、憲法の教育を受けさせる義務とか、近代から現代に進むにつれて確立された制度とも共通項がある気がしました。
 
 
ナスターシャは、すごい美人なんだけど「心の代わりに石があり、感情は乾からび、永久に枯死してしまったかのようであった」という性格になってしまっている。恩人トーツキイは、将軍の娘と結婚しようとしている。それに対して強烈に反対をしはじめたナスターシャの心理は、少しずつ変化している。本文こうです。
 

彼女には以前の冷笑、以前の敵意や憎悪、今までは、ただ思い出しただけでもトーツキイがぞっとさせられた以前のあの高笑いが、今は影をひそめているばかりではなく、むしろかえって、今は誰とでも打ち明けて、親しく話をすることのできるのを喜んでいるような様子があった。
 
すこし時が経って、ナスターシャに幸福な結婚をさせようと、トーツキイと将軍はやたらと画策している。ところが……。この3人の関係性がこじれてきて将軍は怖じ気づいてこういう問題からとにかく1日は逃げていたい、というところに、ちょうど上手いこと「白痴」の主人公ムイシュキン公爵が現れた。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
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