

今日は南部修太郎の「猫又先生」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
新しくやって来た、赤毛でヒゲの先生が、どんな人なのか……というところから物語が始まるんです。けっこうふざけた話しなんですけど、100年前のこう、楽しい学校の風景、みたいなものが垣間見られました。じっさいはどうだったんでしょうか。なにか特別な空間だったように思います。
ちょうどこう、漱石の「坊っちゃん」から現代の純文学へ向かう中間のところの、小説だという印象でした。「偶像化」という言葉は漱石はほとんどまったく使わなかった。小説では唯一『幻影の盾』という作品でこれを1回だけ用いている。いっぽうで三田文学の南部修太郎は今回の「猫又先生」でこの「偶像」という言葉を繰り返し用いている。南部は小説家と言うよりも編集者の仕事をたくさんやっていたようで、小説の方もそういう経歴が出てしまっていて、ちょっとメタ化した作品になっている。
子供の眼が見た、皮肉な世界がなんともいえず、生徒が先生に人生論をさとすところで、笑いました。ふだん編集をしている人が作品を書いて、ふだん読んでいる人が書く方にまわって、という転倒した感じのおもしろさがありました。
「だが、先生はやつぱり先生をやつてられるのか知ら……」「さ、それが確にさうなんだ。その時、二人が擦れ違つた途端にひよいと振り向くと、先生の少し猫背になつた肩の處にチョオクの粉が白く降り掛かつてゐるぢやないか。それが、先生が相變らず先生であることを證據立ててる……」

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