陰翳礼讃(8) 谷崎潤一郎

FavoriteLoadingお気に入りに追加

今日は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」その8を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ついに谷崎潤一郎が、美に関して具体的に論じ始めるんです。そのまえに7つの話題があったわけで、そこでもとうぜん美を論じているんですけど、明確に論じると言うよりも、そこにある美を絵画のように描写してきた。こんどは西洋の伝統建築と、日本の寺院における建築様式とその美について比較して、それからこう記しています。本文こうです。
 
 
  美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。
 
 
谷崎は、日本の屋根が幅広くて陰翳の空間を大きくしているほど、美を有していると言うんです。「日本の屋根を傘とすれば、西洋のそれは帽子でしかない」というのが興味深かったです。西洋では内側に凝った建築を作るのに、野外に影や空間を形づくることに関してはほとんどどの西洋建築家も興味を抱かなかったんだなと、初めて気づきました。
 
 
日本には、雨宿りという行動がごく自然にあり得るわけなんですが、それもじつは日本の建築に「屋根を傘のようにつくる」という美の意識があるからで、西洋式ではそれはむつかしい。古いバス停の屋根だとか、門の外側に置かれた菊の花とか、その外側に空間を形づくろうとする意識は、今もやっぱりある。
 
 
むかしは日傘を差した男というのが居たらしいんですけど、谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」に通じる感覚を持っていた人なのかもしんないなあ、とか思いました。
 
 

 
 
以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/ineiraisan08.html
(約5頁 / ロード時間約30秒)
★シンプル表示の縦書きテキストはこちら
 
 
 
 






明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


Similar Posts:

    None Found