門(22) 夏目漱石

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今日は夏目漱石の『門』その22を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
第22章に記されている、保養という言葉が印象に残りました。保養と言えば、現代のチェルノブイリでは、もう十年以上も前から、内部被曝の数値を下げるために、遠く離れた地へデトックスの旅に出かけるという活動がずっと行われていて、日本でもこの保養活動は、お寺やNPOを中心にして行われている。
 
 
今回、「門」の主人公、宗助の場合はそれとはまたまったく異なっていて、家庭崩壊につながりかねない過去の対人関係に於ける痛苦の問題で、心が病んでしまった。修行をして悩みから抜けだそうとお寺さんをうかがう保養の旅に出かけたわけですが……。問題が解決したわけでは無い。本文にこう書いています。
 
 
  せっかく保養に行った転地先から今帰って来たばかりの夫に、行かない前よりかえって健康が悪くなったらしいとは、気の毒で露骨に話しにくかった。わざと活溌かっぱつに、
「いくら保養でも、うちへ帰ると、少しは気疲きづかれが出るものよ。……
 
 
こんな状態で、傷つけてしまった旧友と、住み家の近くで鉢合わせするようなことになってしまって良いのだろうかと、宗助はたいへんに悩んでいるので、ありました。
 
 
宗助は偶然にも、なんとか因縁の深い旧友と出会わずに済んだ。この章の最後の一文が、ものすごい迫力でした。抜き出すとその魅力が半減すると思うんですが、本文こうです。
 
 
  彼の頭をかすめんとした雨雲あまぐもは、かろうじて、頭に触れずに過ぎたらしかった。けれども、これに似た不安はこれから先何度でも、いろいろな程度において、繰り返さなければすまないような虫の知らせがどこかにあった。それを繰り返させるのは天の事であった。それを逃げて回るのは宗助の事であった。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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