今日はゲーテの「ファウスト」その(39)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
このファウストという作品はあと10回くらいで完結します。前回、あらゆる体験をしてきたファウストは、荘厳な高山のいただきから自然界を見つめ、そこに無上のものを見いだしました。アウロラという女神を見たと、ファウストは思うのです。アウロラというのは暁の女神で、山から闇を見ていて、そこに太陽の光が射してくるという瞬間と、神話上の女神への思いが重なりあったイメージだと思います。ここがファウストの一つのクライマックスのようにも思えました。映画でこれを撮ったなら、暗いところを延々撮り続けてきて、非常に美しい自然界の映像がひろがってくるという迫力のあるシーンなんだと思います。
そういう現場で、ファウストと悪魔メフィストフェレスとが2人で話しあいます。メフィストフェレスは、悪魔の由来というのを語るんですよ。迫力のある台詞でした。こんなのです。
昔神様がわたし共を、真ん中一面に永遠な火が
熱く燃え立っている、底の底のどん底へ虚空から堕して
およこしなすった時の事
悪魔は、自分たちは地獄の底の底から、さらに底へと押し込められていって、ついに火山の噴火するように大地の絶頂からこの地へ現れたと言うんです。
程なくどうどうと鳴って、はじけたのです。
そこで尻尾をつまんで倒さに吊るしたように
これまでどん底であった所が、こん度は絶頂になります。
そのようにして悪魔が空に放たれたと言うんですよ。これに答えて、主人公は自然学者のように冷静に、地球のなり立ちを語ります。そこに悪魔の生じる隙など無いんです。主人公は「山はなにも言わん。山はただ黙っている」と言うんです。ゲーテは、悪魔の考えと人類の考えを対比します。
悪魔はあらゆる混沌と乱暴と、戦争と欲望について語ります。そうして悪魔は主人公に聞きます。あらゆるものを体験したあなたは、これなら欲しいと思ったものなど、無かったでしょう、と。主人公は、いや、一つだけこれこそがほしいと思うものがあった、とファウストは述べます。哲学者ニーチェが言うところの、力への意志というやつです。主人公は、人々のこれまでの行いを思いおこして述べるのです。
自然の暴威や無意味な反復に打ち克つような、治水都市を作りたいと、主人公は語ります。ゲーテの本には直接書かれていないのですが、水の都ヴェネチアの、その治水の歴史、というのを自分としてはイメージしました。
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幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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