与謝野晶子詩歌集(11)

今日は「与謝野晶子詩歌集」その11を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「花を見上げて」という詩が美しいです。今回のはいかにも明治大正時代の詩歌だなあーと思いました。骨董品を鑑賞するような、魅力もあるように思います。
 

花を見上げて「悲し」とは君なにごとをひたまふ。
…………
 
 

 
 
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白痴(19) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その19を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 

この訪問は彼にとっては危険を帯びたものであった。
 
といった文章で始まる今回の物語なんですけど、主人公のムイシュキン公爵はついに、暴漢ロゴージンの邸宅を訪れます。公爵は、冒険者みたいな役割も担っていて、その無垢な性格で、どんなところにも入ってゆくという印象があります。小説といえば、探偵とか刑事とかが居て、そのおかげで、いろんなところに潜入できて物語が奥深くなってゆくんですけど、ムイシュキンは無垢であるからこそ、どこでも勝手に歩けるわけで、特別なところまで入ってゆける。
 
 
ムイシュキンは、ほんらい見つけられないはずのロゴージンの住み家を一瞬で見つけてしまう。そういう超越した知力を彼は持っている。
 
 
暴君ロゴージンとナスターシャは結婚する可能性が高いんですが、非常にややこしい状態になっていて、この2人の間に立っているのが、異人のような存在のムイシュキン公爵です。彼は、ナスターシャがとても混乱をしているから、無理やり急いで結婚をするのは勧めず、彼女はいったん外国で保養をしたほうが良いと考えている。公爵は、結婚の邪魔はしないのですが「君といっしょになるのはあの人の破滅だ」と……「君にとってもまた破滅なんだ」と何度も忠告をしている。ふつうは……考察をせずにただ邪魔をするっていうことが現実には多いと思うんですけど、公爵はまるで逆で、普通じゃ無い。公爵の知力は、飛躍しているところがあって、予言的なことを急に言うんです。
 
 
「おまえを引っつかまえ何か毒でもくらわして殺してやりたかった」とさえ言うような暴君ロゴージンの前で、公爵はこう述べます。

僕はあのひとを『恋で愛しているんじゃなくて憐憫れんびんの情から愛している』んだよ。
 
結婚寸前の男女の間に入って、非常に危険なことを言っています。ムイシュキン公爵は、保身ということを考えないで、大事だと思うことをはっきり言う人なんです。だからこそ、あらゆる人から好まれているわけですけど……読んでいるだけでおっかない。
 
 
ロゴージンの凶暴さは、ものの考え方からにじみ出しているように思うんです。「おれはあの女に憐憫なんて少しも感じないんだ。それにあの女は何よりもひどくおれを憎んでいるんだ」と述べるんですが、混乱をしているフィアンセに対して、あり得ない心情です。普通なら、婚約を解消して無縁にならなきゃいけない。けれどもロゴージンは大金をかき集めるように、憎しみを自分の手元に集めてゆくんです……。話しを聞いていると、もう既に、ナスターシャに対する暴力が行われていた。
 
 
ドストエフスキーの父は、村人たちとの諍いの末に身罷った……ということを考えながら読むと、ロゴージンの人格の異様さにどうして自分たち読者が引き込まれてゆくのか、その理由が判るような気がしました。
 
 
次回に続きます。
 
 

 
 
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恋愛論 坂口安吾

今日は坂口安吾の「恋愛論」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
坂口安吾は、題名がいつも直接的すぎてギョッとするんですけど、今回も面白い随筆でした。坂口安吾の文章は、レトリックとユーモアに溢れていて、普通の日本語とまったくようすが違うんです。最初の三行がすごいです。戦後2年くらいで発表されたもののようです。 
 
 
戦後には、日本語の整理というのが行われて、それで旧字が簡潔に書ける新字体に改められて「體」という文字は「体」に改められていった時代で、文章が読みやすくなっていったんですけど、坂口安吾は日本語の不味い特徴をこのように指摘しています。

日本語の多様性は雰囲気的でありすぎ、したがって、日本人の心情の訓練をも雰囲気的にしている

実はわれわれはそのおかげで、わかったようなわからぬような、万事雰囲気ですまして卒業したような気持になっているだけの、原始詩人の言論の自由に恵まれすぎて、原始さながらのコトダマのさきわう国に、文化の借り衣裳をしているようなものだ。

まさに自分が陥ってしまっていることを論じていて、みごとな指摘だなあと思いました。坂口安吾を読んでいると、現代の優れた小説の、骨格とか土台とかが見えてくるように思うんです。坂口安吾は「人間の生活というものは、めいめいが建設すべきものなのである。めいめいが自分の人生を一生を建設すべきものなので、そういう努力の歴史的な足跡が、文化というものを育てあげてきた。恋愛とても同じことで、本能の世界から、文化の世界へひきだし、めいめいの手によってこれを作ろうとするところから、問題がはじまるのである。」と指摘している。論理的な人だと思いました。
 
 
「人生においては」という書きだしから「物自体が詩である」に至るまでの文章が凄くて、衝撃を受けました。
 
 

 
 
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与謝野晶子詩歌集(10)

今日は「与謝野晶子詩歌集」その10を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
与謝野晶子は、こういう美しい歌を書いています。

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
 
「易者に」という詩や、幼いころを描きだした随筆を読んでいても思うのですが、近代の歌人の中では特別に、批評の精神が色濃い。与謝野晶子は詩で批評を行うんです。その批判の力強さが、豊かで長期的な実人生に通底しているように思えました。
 
 

 
 
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白痴(18) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その18を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
主人公のムイシュキン公爵は、この小説の題名どおり「白痴」と呼ばれて馬鹿にされてきたんですが……。脇役にコーリャ(コォリャ)というのがいるんです。彼はムイシュキン公爵を尊敬している。本文こうです。
 

コォリャがあなたのことを言っていましたよ、世界じゅうであなたより賢い人には今まで出会ったことがないって……

ぼくもムイシュキンは頭が良いと思うんです。なんせ文豪ドストエフスキーが書きたくて書いている人間なので、ドストエフスキーが聡明なように、ムイシュキンも聡明なように思います。作中に於ける主人公の考察がすごいんです。けれどもムイシュキン公爵は、周囲からはあからさまに馬鹿にされている。どうしてか探ってみると、やっぱり自分の未来のことを、ほとんどほったらかしにしてるからなんじゃないかと思いました。だから結婚も出来ないし家族も居ない。
 
 
ほんとに本文とまったく関係無いんですけど、哲学者のウィトゲンシュタインの魅力と通底しているところがあると思うんです。20世紀最大の哲学者と言われているウィトゲンシュタインは自分の将来のことをまったく考えずに戦場の最前線に自ら行ってしまった。当時は強制的な徴兵制は無かったので、本来なら最前線に行く必要は全く無かった。彼は極めて頭が良いので、そこでの生存率が20%以下で8割がた死ぬんだという史実については、行く前から認識していたと思うんです。つまり彼は論理哲学論考を後の世に残さなくっても、かまわない、と思っていた。自己顕示欲の乏しい哲学者だった。どうして死亡率の高い戦地に自ら赴いたのか調べていて、ちょっと判ったことがあるんです。ウィトゲンシュタインは、戦場に行く前にまず、みずからの国籍を公式に抹消して、外国人になろうとしていた。ところがお役所仕事の役人から、無国籍になることは出来ないと拒否された。その瞬間に、じゃあ戦争に行くしか無い、ということで彼は戦争に行った。ヴェーユと同じで、他人の犠牲を強いている状況では学問が出来ず、身近で困窮している人と同等の生き方をしなければ、自身の哲学に反するとかんがえて、死にかねない行動に出たようなんです。ウィトゲンシュタインがなぜ戦場に行ったのか、いろんな説があるんですけど、ぼくはこれを調べていて、ヴェーユと似たことを考えて戦場に行ったんだと考えました。
 
 
えーと、それで半年ぶりにペテルブルグの人々に出逢ったムイシュキン公爵は、こんかいレーベジェフという人物に向かいあいます。小悪党みたいな性格で、なんとも妙な脇役なんです。作中、このように記されています。

 レーベジェフその人が、はいってくる公爵のほうに背中を向けて立っていた。
 「公爵、さ、さ、さま!」とだけかろうじて言った。

レーベジェフは、「しょっちゅう嘘ばかり言っている」男で、それから弱い者をおどしてやろうという変な性格をしている。「レーベジェフはまだ脅かしてやろうと、逃げてゆく女の子の後ろで足を踏みならした」とか作中に書いてある。
 
レーベジェフはどなりつけた。「貴様というやつは!」彼は床を踏み鳴らしそうにした。だが娘はただ笑っている……
 
 
レーベジェフと甥の二者で、金を貸す貸さないという、奇妙な諍いが起きるんです。レーベジェフの発言は、たいへん訝しい。いぶかしい語り手なんですけど、じつは、ドストエフスキーの人生において重大だった死刑制度やあるいは聖書の論考を、レーベジェフの発言として記しているんです。ドストエフスキーほど、人物の書き分けがみごとな人は居ないと思うんですけど、じつは作者の人格と共通するところが、いろんな登場人物から垣間見られます。公爵はコーリャとナスターシャを探している……次回に続きます。
 
 

 
 
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与謝野晶子詩歌集(9)

今日は「与謝野晶子詩歌集」その9を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
与謝野晶子は、自由な筆致で風景を描きだしています。むつかしい言葉を調べてみました。

 
見あらはす(見あらはされた)
 

目を上げて見れば
かの青空あをそられなり、
その木立こだちれなり、
前なる狗子草ゑのころぐさ
…………
……
 
 

 
 
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白痴(17) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その17を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ナスターシャは危険な男ロゴージンの根城に転がり込んだ。いっぽうで善良で貧しい男ムイシュキン公爵は、なぜだか遺産を譲り受けてお金持ちになってしまった。
 
 
だいぶ状況が変わってきたところで全体の25%が完結しいよいよ第2編が今回、始まったわけなんですけど、前回から六ヶ月間もムイシュキンは別のところに行ってるんです。これがなにか重大なことに思えました。
 
 
ムイシュキンはそもそも旅人的な存在だった。それが問題に深く関わるうちに、ペテルブルグの人々と無関係ではなくなっていった。
 
 
ですが第2編の冒頭で、無欲なムイシュキン公爵が遺産を手にしたことによって、人と人が結びつくお金の関係がまず無効化され、そうして半年の別離があって、ふたたびムイシュキン公爵は旅人のような、人々の通常の文脈とは異なる存在に戻ったように思えました。本文こうです。

公爵はただの一度、それもほんのちょっとの間、顔を出したにすぎなかったにもかかわらず、とにもかくにも、特殊な印象をエパンチン家の人たちに残して去った
 
 
ところでガーニャは、wikipeidaの「白痴」人物紹介には「腹黒く欲張りで、癇癪持ちの羨望家。7万5000ルーブルを手にするためナスターシャと政略結婚をしようとしている。」と書かれていて、本文にもひどいことがいろいろ書いてあるんですけれど……真面目で人間的なところもある。本文こうです。

ガーニャは公爵の部屋にはいって、その前のテーブルに半焼けの紙包みを置いた。それは彼が気絶して倒れていたとき、ナスターシャが贈った十万ルーブルの金であった。彼はこの贈り物をできるだけ早く、ナスターシャ・フィリッポヴナに返してくれるようにと、くれぐれも公爵に頼むのであった。
 
 
悲劇のヒロインナスターシャはこういう噂が広まっている状況です。


最初モスクワで姿を隠し、すぐそのあとで同じくモスクワでロゴージンに捜し出されたかと思うと、またどこかへ行方を隠して、またまた彼に捜し出されたナスターシャ・フィリッポヴナが、ついに彼と結婚しようという固いことばを与えた。ところが、それからほんの二週間きりたたないうちに、ナスターシャ・フィリッポヴナが三度目に、ほとんど結婚の瀬戸際になって逃げ出し、今度はどこか地方の県下に行方をくらました。
 
 
今回も、登場人物表と照らし合わせながら読みすすめました。
 
 
善人のムイシュキン公爵は、けっきょく遺産を引き継ぐんですけど、それをちゃんと調べもせずに、いろんな関係者に分配してしまった。それでけっきょくは資産が手元にほとんど残らなかった。本文と関係無いですけど、こういうところが哲学者ウィトゲンシュタインの実人生に似ているように思います。はい。
 
 
ドストエフスキーの小説では、大金が動いたり、異様な金の使い方をして監獄に入れられる男が登場したり、お金の概念がすごく印象的なんですけど……作者はじつは1863年ごろから10年間くらいルーレット賭博というギャンブルでムチャクチャをしていて、ちょうどそういう時期にこの「白痴」(1868年)という長編小説を書き継いでいったらしく、そのために、お金の扱いがムチャクチャで、そこもドストエフスキー文学の魅力のうちの一つになっているんだと思います。
 
 
ムイシュキンは、エパンチン一家のアグラーヤに、ちょっとした手紙を送った。……次回に続きます。
 
 

 
 
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