ハイネ詩集(82)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その82を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
花と真珠と星……。ハイネは今回この3つをシンプルに比較してみせるんです。2つを比較してみる、ということはほとんど無意識に誰もがやってみることだと思うんですけど、どうもそれだと文学的にならない。三者、現れたときにすごいと思う。漱石の描いた男女の三角関係や、ドストエフスキーの三つ巴の闘争。
 
 
後期になってから、ハイネの詩は洗練されてシンプルになったように思います。ハイネは、遠い世界を求める人で、じっさいに日本にまで詩が翻訳され、100年後にも詩集を読まれ、祖国ドイツからフランスに永住した作家で、こんかいなんだか、その遠く遠くというのが詩に現れていて不思議な詩でした。
 
 


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海苔の茶漬け 北大路魯山人

今日は北大路魯山人の「海苔の茶漬け」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ツイッターで「生しらすとイクラのどんぶり」の写真を見て、美味しそうだなーと思った翌日に、たまたまスーパーで半額のイクラが売っていたのでこれを買ってきて、ちゃんとちりめんじゃこと、醤油やゴマやネギやワカメを入れた丼を作って食べたら、ちっとも美味しくなかった。あれっ? どういうこと? と思ってグーグルで検索したら、いくらにも調理法というのがあって、酒とみりんと醤油のタレに漬けて、味をじっくり染み込ませてから食うものだった。書かれているとおりにやってみると、こんどはちゃんと美味しかったです。ほんと世の中はしらないことばかりだなーと思いました。
 
 
北大路魯山人は、誰でも作れそうな海苔の茶漬けの、複雑な調理法と奥深さをこんかい説いています。あと海苔を焼く、ただその一手間があるだけで、ぜんぜんちがうと。魯山人は焼肉についてもちょっとした工夫を記しています。
 

 ……肉汁が滲み出て来た時を見て、たれの中にひたし、さらに金網か、なべの上に乗せるが、今度は焼くのではなく焙るだけでいいのだ。
 すべて料理のうまい秘訣は、こんなちょっとした注意にある。なるほどそうだろうと分ってみても、聞くだけではだめだ。直ちに、よし来た――とばかり実行する人であってほしい。


 
 
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白痴(4) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その4を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
将軍の3人娘を描きながら、物語は進展するんです。将軍一家の妹アグラーヤはほんとうに家族から愛されているので、よほど優れたお金持ちの青年が現れないとフィアンセになれない。家族は彼女のために、自分が犠牲になってやろうとちょっと考えている。ドストエフスキーには登場人物がとても多いという特徴があって、たいていの小説には、冒頭に登場人物表が載っていたりします。しかもチョイ役がめっちゃかっこ良かったりするのも、他の小説にはない魅力だとおもいます。
 
 
ドストエフスキーの混沌とした饒舌によって、多岐にわたる人物が描かれてゆく。バラシコフの物語というのがほんの1ページだけ突如描かれるんですが、これが……すごい。どういうことなの……と思ったら、一家の崩壊から生き残った少女が今回の物語のヒロイン、ナスターシャなのでした。
 
 
トーツキイという慈善家が、幼いナスチャ(ナスターシャ)に教育を受ける機会を与えた。そのトーツキイが結婚しようとしはじめたとたんに、少女ナスターシャは、とつぜんこの恩人に会いにいってしまい、さらには彼に対して「声高らかに笑って、毒を含んだいやみを並べ立て」て「結婚させまいと」してしまう。恩を仇で返すようなことを、少女はやってしまう。ナスターシャは「徹底的に向こう見ずな女であり、かてて加えてこの世のものを徹底的に軽んじている」
 
 
つらい時代を経て優しい少女になったのでは無くって、なんだかややこしい……悲劇のヒロインになって現れてくる。ただ、ナスターシャはちゃんと教育を受けた女なので、恩人に危害を加えたりはしない。ではどうしてそのような奇行に出てしまうのかというと「ものをも尊しとせず、自分自身をすらも極端に軽んじていた」からだと、本文に記されています。えーと、あと作中の犬儒学派というのは、ディオゲネスのことです。
 
 
ナスターシャは教育を受けさせてくれた年上のトーツキーに対して、利害とは無関係に「恐ろしく上手うわてに出る」んですけど、こういうドストエフスキーの表現は、現代で言うと学校教育の無償化とか、憲法の教育を受けさせる義務とか、近代から現代に進むにつれて確立された制度とも共通項がある気がしました。
 
 
ナスターシャは、すごい美人なんだけど「心の代わりに石があり、感情は乾からび、永久に枯死してしまったかのようであった」という性格になってしまっている。恩人トーツキイは、将軍の娘と結婚しようとしている。それに対して強烈に反対をしはじめたナスターシャの心理は、少しずつ変化している。本文こうです。
 

彼女には以前の冷笑、以前の敵意や憎悪、今までは、ただ思い出しただけでもトーツキイがぞっとさせられた以前のあの高笑いが、今は影をひそめているばかりではなく、むしろかえって、今は誰とでも打ち明けて、親しく話をすることのできるのを喜んでいるような様子があった。
 
すこし時が経って、ナスターシャに幸福な結婚をさせようと、トーツキイと将軍はやたらと画策している。ところが……。この3人の関係性がこじれてきて将軍は怖じ気づいてこういう問題からとにかく1日は逃げていたい、というところに、ちょうど上手いこと「白痴」の主人公ムイシュキン公爵が現れた。
 
 

 
 
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ハイネ詩集(81)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その81を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ここまでハイネの詩を80回読んできたんですけど、もう判ってると思っていたハイネの詩が、ここにきてまるで分からなくなってきた。分かったと思ったんだけどなあーあ、と思いました。これは……ほんとうにハイネが書いたの? 翻訳か印刷か輸送か書き起こしの段階かどこかで、なにかの手違いが起きたんじゃないの? とか思いました。謎の作品です。今回の81番目の詩は読まないほうが良いと思います。すごくイヤな気分になる詩ですし。なのでもう今日は、リンクを外しておきました。……。代わりに中原中也のこの詩を、読んでみてください。
 
 
なぜか翻訳家の生田春月にまで文句を言いたくなりました。この作品は、編集で削ったほうが良くない? と、もし当時ぼくがこの詩集の編集者だったらこれはカットしてもらうよう問い合わせると思います。前後の詩との関連があったのかもしれません。調べてみると、ハイネは今回の、なんだかひどい言葉を、失恋した詩人(語り手自身)を示す言葉として使っていたことがありました。ついでにwikipediaも同時に読んでみましたが、こちらのページのほうが遙かにおもしろかったです……。
 
 
考えてみれば、食い物か飲み物が無くって生存できるほ乳類は居ないですし、それにこれは原文ではちがう意味が含まれているのかもしれない……、とか思いました。とにかく今回の駄作を読んでいて、生田春月のハイネ詩集が出版されなくなって、誰も読めなくなっちゃったのは、なんだか納得がゆきました。宮沢賢.治の「猫の事.務所」みたいなことって、じっさいに起きてしまう。消えた都市を探訪したような気分になりました。
 
 

今回は、こちらのリンクからハイネの詩をひとつも読めませんかわりに中原中也の詩を読んでみてください。縦書きブラウザの使い方はこちら
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インチキ文学ボクメツ雑談 坂口安吾

今日は坂口安吾の「インチキ文学ボクメツ雑談」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは……ずいぶん妙な題名がついた、数ページの随筆なんですけど、読み終えてみるとなんだか楽しい随筆でした。坂口安吾と言えば、過酷な時代に、いちばん自由に生きた文学者、というイメージがあってじっさいそういうふうに思える随筆が数多くあるんですけど、今回の随筆はそうでもない、けっこう不自由に「ムニャムニャ」やっているところが描かれています。今回の随筆の11カ月後に、安吾は堕落論を発表しています。
 

僕はただ自分を斬っているだけ、自分のインチキ文学を憎み呪い、悪戦苦闘、あげくの果の狂態、僕はダメです、男の子だから。そして僕はともかく作家だから。僕は自分を知っています。自分のことが全部です。
 
この前後の文章が、笑いを追及したエッセーになっていて、ちょっと北杜夫のどくとるマンボウに似ている文体で興味深かったです。
 
 

 
 
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白痴(3) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その3を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
主人公ムイシュキン公爵の発言がひとつひとつおもしろく、ちょっと古い言葉で翻訳されているところが、かえってこの物語に魅力を与えているように思います。
 
 
ムイシュキンは病持ちでありながら、住み家を探している状態なんですけど、かれの会話シーンを読んでいると、すこぶる落ちついている。どこにも焦りや危機感は感じられない。
 
 
さらにムイシュキンは働く気が無いのに、貯金が無いという、なんだか空白状態になっていて、これもドストエフスキーの得意技という感じがします。
 
 
ムイシュキンは幼い頃から両親が居ないところで育ってきた。彼は主人公なんだけれども、どこかこう脇役的というか、家族の核になったりしないし、社会の核になったりしない。気持ちの良い男なので友達がすぐに出来そうなんですけど、ロシアに来たばかりで友達が一人もいない。いろいろ空白なんです。
 

僕は誰とも結婚できないんです
 
と公爵は言うんです。療養の必要があるので、肉体労働もなかなかむつかしい。けれどもとくに身体に苦を伴っているわけでは無い。
 
 
作中で、ナスターシャの写真が出てきて「すばらしい美人だ!」と言って「絶世の美人」のことで将軍が大騒ぎするシーンがあります。このあとの、ムイシュキン公爵のつぶやきに、すこぶる迫力がありました。聖性をともなう愚というのが立ち現れてくる。


将軍はムイシュキン公爵に「どこか役所の口を捜してみましょう」と仕事を紹介しても良いと言って、いくらかの生活費を手渡します。将軍は「友だちとして忠告しますが、ロゴージンのことは忘れてしまいなさいよ」と述べます。しかし、おそらく…………。

 

 
 
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ハイネ詩集(80)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その80を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
芸術創作の、前期と後期というのが気になるのですが、たとえば画家のジョルジョ・デ・キリコは、高齢になってから若い頃の画風を再構成するようにして、再び20代の頃の方法で絵を描きはじめている。自身のコピーを平然と制作し、さらに制作年月まで何十年も以前の年号をサインして批判を浴びたことは有名な事実なんですが、キリコはそうやって若い頃の自分自身を甦らせる独特な観念を持っていて、長命な画家だった。
 
 
そういえばハイネが尊敬していたゲーテのファウストでも、主人公は、老いてから若い己を甦らせて、もういちど若い頃から生き直すという物語を描いている。ゲーテはそのファウストを寿命を迎える80歳頃まで永々と書き継いでいた。
 
 
今回のハイネは、今までにいくたびも見た、幸福の描写のすぐあとに不幸を重ね合わせるように描く、というハイネ独特の詩作なんですけど、その様式が先鋭化している。
 
 
中国で言うなら禍福糾纆かふくきゅうぼくといった概念をハイネはいつも詩に織り込んできた。今回記されているアスラというのはおそらく、阿修羅アスラのことであるとおもいます。
 
 


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