宮沢賢治の世界 中原中也

今日は中原中也の「宮沢賢治の世界」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ちょっとこれから、しばらくのあいだ、1939年のことをひとつひとつ調べて読んでゆこうと思っています。この中原中也の宮沢賢治紹介文は、1939年に発表されたものなんです。賢治と第二次大戦とはまったく繋がってないはずなんですけど、ただはじめて賢治作品が広く大衆に読まれた時代は、じつは大戦中の1939年〜45年ごろだったんだなと、思いました。これはwikipediaにも記されていました。
 
 
もしかすると、賢治の飢餓陣営を読んだことのある人が、ほんとうに戦中の兵役で飢餓と対峙したのかもしれない、というのが、自分にとってはすごい衝撃でした。
 
 
中原中也が、生まれてはじめて宮沢賢治という作家の作品全体を発掘してゆく時の、その緊迫した心象が描きだされています。賢治が新しい芸術論を書くとすれば、はたしてどのようなものか、について論考するときの、いちばんはじめの描写が印象深かったです。中原中也が宮沢賢治にのりうつって、思考を展開している。それはどう考えても、賢治の延長線上にある思念と言うよりも、中原中也と宮沢賢治がまじりあったものになっている。(中原中也=宮沢賢治)なる人物の手記になっている。そこが蠱惑的でした。詳しくは本文をご覧ください。



 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/miyazawa_kenjino_sekai.html
(約3頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
 
 
 
 




top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選





夢十夜 夏目漱石(1)

今日は夏目漱石の「夢十夜」その1を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回から十回にわけて夢十夜を読んでゆきたいと思います。夢という仕組みを圧倒的に使いこなした作家と言えば、ドストエフスキーがまず思いうかぶんですけど、夏目漱石は第一声で「吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。」から始めた、特別に技法の冴える作家で、夢について描くのも一文目からいきなりで、全体的に夢の世界を描きだしていて、仕組みが華麗だと思いました。
 
 
夢の内部の情景を色彩豊かに描写しているんです。なんだか漱石が印象派の絵画を描きだしているような、幻想的な文体です。本文こうです。 
 
 
…………女はぱっちりと眼をけた。大きなうるおいのある眼で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真黒であった。その真黒なひとみの奥に、自分の姿があざやかに浮かんでいる。
自分はとおるほど深く見えるこの黒眼の色沢つやを眺め……
 
 
オフィーリアの受難を、静謐に描きだしたジョン・エヴァレット・ミレーの絵画を想起しながら、この小説を書いたのかなあ……と空想しました。 
 
 
普通の小説では、同じことを二回言ったりしないことが多いと思うんですよ。でも漱石は今回、なぜだか同じ言葉を、歌か詩のように繰り返すのが、読んでいてとても心地良いんです。作品ごとにこんなにも鮮やかに文体を変えられるなんてすごいやと、息をのみました。終盤の花の咲く描写が美しかったです。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/yumejuya01.html
(約30頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
 
 
 
     (横書きはこっち)




top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選





山羊の歌(15) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その15を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
言葉の一文字だけからもう、すでに独特な文体だと思いました。本文に、こういう記述があります。「さもてる」「うしろに倒れ、歌つたよ、」
 
 
中原中也は、お気に入りの辞書を持っていて、それで言葉を調べながら、こういう文字を書いたのかなあと思いました。
 
 
かけひの水は、物語る
白髪しらがをうなにさもてる。

雲母の口して歌つたよ、
うしろに倒れ、歌つたよ、
 
 
後半の描写がダイナミックでした。つづきは本文をご覧ください。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/yaginouta15.html
(約1頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
 
全文はこちら             (全文のヨコ書きはこっち)
 
 
 
 




top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選





最初の問い 宮本百合子

今日は宮本百合子の「最初の問い」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、1939年に記された、ごく短いエッセーです。1939年というのがどうにも重大な歴史の転換点の年に思えて、年表を今みています。前も書いたんですけど、ノモンハン事件が起きていて、ナチスドイツがポーランドに侵攻している年なんです。あとNHKがテレビ実験放送を開始していて、冬には映画『風と共に去りぬ』が日本で封切りされていたりもします。
 
 
世界大戦の始まりの年ではあっても、まだぎりぎり平和的な日々も営まれていて、そういう記録もいくつかネットに存在していました。New York World’s Fairというのがこの年に催されたわけなんですけど、その映像記録をネットで発見しました。戦前とは思えない完成度の画質です。
 
 
黒人の民族舞踏とか音楽とか、子どもたちのファッションとか、ジェットコースターやゴーカートの様子とか、ここ数十年とあんまり変わらないくらい高度な装置があったりしておどろくんです。戦前ですよ?! タイポグラフィーやファッションの完成度が高くて、50年後のパリコレとそんなに変わらない新しさなのが驚きです。建築も、ピラミッドくらい大きな球状の巨大施設があったりして、噴水も綺麗に一直線に、人の十倍くらいの長さまで噴き上げていて、そうとう土木技術が進んでいたんですねえ。
 
 
1939年は気になる年なんです。この年に起きていたことをもう徹底的に、調べて調べて調べまくりたい気がしました。坂口安吾や太宰治はこの年に何をしていたのかとか、宮本百合子は何をしていたのかとか……。ただの個人的な先入観なんですけど、1939年に書かれたものは、みな印象深いように思いました。
 
 
宮本百合子は、幼子の発する「なぜ?」という問いの尊さを記しています。 
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/saishono_toi.html
(約1頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
 
 
 
 




top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選





ゴリオ爺さん(12) バルザック

今日はバルザックの「ゴリオ爺さん」その(12)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今から読み終える予定の方は、こちらのリンク先から本文をまるごと読めます。下記の文章は完全にネタバレとなってしまうので、ご注意ください。
 
 
ゴリオ爺さんは意識不明に陥る寸前に混乱してしまって、誤ったことを考えてしまう。過去幾度となく父と娘とで愛を確認しあってきたのに、ゴリオ爺さんはそれを事実では無かったのだと考えた。錯乱して恐ろしい言葉を投げかけてしまう。お爺さんは、もはやほとんど見えない目で、娘の幻を見るんです。本文こうです。
 
 
  ……きっと涙に触れて勘違いしたのであろう、ゴリオが彼の最後の力を振り絞ってベッドの両端に向かって手を伸ばし、その手は学生達の頭に出会った。その手は激しく髪の毛をつかんだ、それから微かな声が聞こえた。「ああ! 私の天使!」
 
 
おじいさんの物語はここで終わるんです。ただ、この後の描写がすごいんです。意識不明に陥ったゴリオ爺さんのもとに、娘がなんとかたどり着いた。本文はこうです。ヒロインのニュシンゲンの言葉です。
 
 
  罪を悔いている貴方の娘を祝福するために、ほんの一瞬だけでもこの世に戻って下さい。私の言うことを聞き届けてください。ここにいるのはひどい娘です!
 
  貴方の祝福だけが私がこれからこの世で受けることの出来る唯一の祝福なのです。皆が私を憎むでしょう、貴方だけが私を愛して下さいます。
 
  貴方の手で私を導いて下さい、私は貴方を愛します、私は貴方のお世話をします。彼にはもう聞こえないのに……………
 
 
ゴリオ爺さんはその言葉を聞くことが出来たのか……詳しくは本文をご覧ください。
 
 
このあと誰一人として遺体を引き取りには来なかった。主人公の学生ウージェーヌ・ラスチニャックは、娘たちや親戚に、葬儀の手配をするように願い入れるのですが、なぜかどうしても連絡がとれなくなってしまった。ウージェーヌ・ラスチニャックは、手持ちの金全てを使いはたして、血の繋がりの無いたった二人のご近所さんだけで小さな葬儀を執り行った。ウージェーヌ・ラスチニャックはお爺さんの埋葬を終えて、一人きりになる。本文こうです。
 
 
  二人の墓堀人は土くれを何回か棺にかけて覆うと、体を起こし二人ともラスチニャックの方に向き直った。そして彼にチップを要求した。ウージェーヌはポケットの中を探し回ったが、一銭もなかったので、彼は仕方なくクリストフから二〇スーを借りた。そのこと自体は些細なことだったが、ラスチニャックの中で恐ろしいほどの悲しみの発作が突き上げてきたのだった。
 
  彼は日没を眺め、若者としての最後の涙もその場に埋葬したのだった。

  この涙の一滴は地上に落ちた後、跳ね上がって天空にまで届いた。彼は腕組みをして、じっと雲を見つめた、そしてそのまま眺め続けていた。クリストフは去っていった。ラスチニャックは一人残って、墓地の高みに向かって少し歩いた。それから、セーヌ川の両岸に沿って曲がりくねって横たわるパリを眺めた。
 
 
結びは、明るく記されているんです。ヒロインとラスチニャックが、それからどうなるのかは、明記されていない。ただ主人公ラスチニャックには、強い思いがある。それまでの彼の行動と結果から予測すれば、良い未来にたどり着けるだろう、と想起させるものでした。
 
 
残念ながら無料で読めるバルザックはこれで全てです。バルザックの饒舌な言葉を、もっと読んでゆきたい、と思いました。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/goriot_jisan12.html
(約100頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
  
 
        (横書きはこっち)
 
 
■主要登場人物
・ゴリオじいさん………娘たちを愛するあまり破産した。
・ウージェーヌ・ラスチニャック………うぶで野心家の学生。
・レストー夫人………ウージェーヌが一目惚れした美女で、ゴリオじいさんの実の娘。
・デルフィーヌ・ド・ニュシンゲン夫人………銀行家の妻で、ゴリオじいさんのもう一人の娘。ラスチニャックと恋愛。
・ボーセアン夫人………ウージェーヌの遠い親戚のお金持ち。
・ヴォートラン………謎のお尋ね者。
 
 
(作中[1][2][3]などの数字表記があります。その箇所を解説した訳註はこちらをご覧ください。)

 
全文通読はこちら(12回で完結です)
         10 11 12
 
 
iPadやノートPCなどに対応した、シンプル表示の縦書きテキスト版はこちら
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
  


 






top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選





山羊の歌(14) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その14を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は「逝く夏の歌」という詩なんですけど、ジョルジョ・デ・キリコの絵画を彷彿とさせるような、謎の現象が平然と書きしるされているんです。中原中也は、形而上的な自転車を登場させます。
 
 
自転車が出てくる一つ手前のところで、海と波を描きだしているんですけど、ここで明らかに、現実世界からの跳躍があります。やっぱりこの詩に書きあらわされた自転車は、なんだかとても不思議なものとして描きだされているんだ、と思いました。この詩の言葉が印象に残りました。
 
 
 山の端は、澄んで澄んで、
 金魚や娘の口の中を清くする。
 飛んでくるあの飛行機には、
 昨日私が昆虫の涙を塗つておいた。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/yaginouta14.html
(約1頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
 
全文はこちら             (全文のヨコ書きはこっち)
 
 
 
 




top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選





日付のない日記 堀辰雄

今日は堀辰雄の「日付のない日記」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 

作家が小説のような文体で、文学の紹介をしているのが、なんだが好きなんです。本を書く人が、本のことを書いている、というのに興味があります。
 
 
こう、冒険家が地図を書き残しているのを発見したような、島の宝箱の中にあった絵地図のような、マトリョーシカの中のマトリョーシカとでも言うのか、猫型ロボットのポケットというか、なんだか入れ子構造というか、そういうのを連想します。
 
 
堀辰雄は、プルーストの作品と、ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」について論じているのですが、プルーストはバルザックの文学性に近く、ジョイスはフローベルに近いと、述べています。本文はこうです。
 
 
  プルウストはいい。實に氣隨きずゐ氣ままだ。一ペーヂ、二ペーヂと、その投げやりな筆につい引かれて讀んで行くうちに、忽然として、私の眼の前にはさまざまな人物が丁度バルザックの小説の中でのやうに、鮮やかに浮んでくるのである。……
 
 
堀辰雄は更級日記の魅力について書きしるしています。こんど現代語訳を読んでみたいなあと思いました。
 
 
むずかしい言葉を調べてみました。

ノンシャラン (ノン・シャランス)
 
 
晝(=昼 ただの旧字です)
畫(=画 ただの旧字です)
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/hizukeno_nai_nikki.html
(約10頁 / ロード時間約30秒)
iPadやノートPCなどに対応した、縦書きテキスト版はこちら
 
 
 
 




top pageへ ・図書館リンク ・本屋マップ ○名作選