山羊の歌(21) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その21を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、ほかの詩とかなり印象が異なっていて、天上の美しさを描きだしているんです。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の前半部分の星祭りや、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の冒頭の描写を、思い浮かべました。
 
 
前回も出ていたのですが、詩のなかに、喪失した椅子というイメージが現れるのです。中原中也の椅子、というのがこの詩集で2回だけ登場するわけなんですが、そのいずれも、椅子が無い……という描写なんです。
 
 
今回は、中原中也の想像力で描きだされた上天界の描写において、椅子のことが記されています。
 

 ……………
 小さな頭、長い裳裾すそ
 椅子は一つもないのです。
 下界は秋の夜といふに
 上天界のあかるさよ。
 
 
中原中也が「無い」というところを詩に描きだしているのが、なにか強い印象に残りました。
 
 

 
 
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アブセンス・オブ・マインド 西田幾多郎

今日は西田幾多郎の「アブセンス・オブ・マインド」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
アブセンス・オブ・マインドというのは、辞書によれば「ぼんやりしていること、放心状態、うわの空」とか「粗忽」とか「そそっかしい」という意味です。
 
 
さいきん、1939年を知りたいということで、この年に書かれた書物と新聞を読んでいるんです。wikipediaの記述に、日ソ国境紛争そしてノモンハン事件というのがあって、日本の軍が完全敗北した年なんですが、その事実は、戦後になるまで一般の人びとにはほとんどまったく伝わらなかったのではないかと思いました。wikipediaにはこう書いています。
  
 
  ノモンハン事件当時の日本陸軍の情報統制は厳しく、ノモンハン事件の情報についても管理されていた。憲兵隊が新聞などのマスコミ報道や、手紙・電報などの私書について検閲を実施し、それを毎月データー化して関東憲兵隊に報告し、関東憲兵隊はそれを取りまとめて『検閲月報』という極秘資料を作成していた。

  事件当時の新聞などの報道では、日本軍の苦戦や損害に対する記事は検閲される一方で戦果と武勇伝が強調され、新聞紙面上からは日本軍が苦戦している状況は微塵も感じられなかった。私書についても同様で、日本軍が苦戦していることが判る様な表現や、日本軍や兵器の問題点を指摘した記述は削除されていった。
 
 
それで、じっさいに当時の新聞を何日分か読んでみたんですけど、たしかにノモンハンの被害状況がほとんどまったく書かれていなかったです。僕が発見した記事は、1939年の12月中ごろに、ノモンハンで戦死した男の慰霊が行われた記事なんですけど、人数がまったく書いていないんです。死傷者は何千人も居るんですが、記事には「○○中佐一名以下の慰霊がとりおこなわれた」というようなたった10文字ほどに圧縮された文章しか、発見できなかったです。
 
 
憲法二十一条が戦後社会に存在しているのは、このノモンハンの戦争や日中戦における被害状況がほどんどまったく報道されなかったため、日中戦、日ソ戦、日米戦と、戦局が拡大の一途を辿りつづけたという事実が礎となって、条文が構築されたのだろうと思います。
 
   
戦中当時に必要だったのは失敗学だったと思うんですよ。どういう巨大な損失があったかが開示されたら良かった。関係無いんですけど、現代日本で成功している人びとの動向を見ていると、自分とここが違うなと思うのは、失敗が開示されているところなんですよ。ノモンハン時代の新聞みたいになっちゃダメなんだと思いつつ、自分も失敗を隠して生きてるし、だからダメなんだろうなとか思いながら当時の新聞を読んでいました。
 
 
日本国内ではこの当時、ドイツ人を中心に在日外国人が住んでいて、西田幾多郎は、知り合った外国人のことを、この随筆に記しています。短いエッセーなんですけど、漱石の「こころ」冒頭部分を思い起こさせるような文章で、なんというんでしょうか、なんだか西田幾多郎をもっと読んでみたいと感じる、短編です。
 
 

 
 
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夢十夜 夏目漱石(6)

今日は夏目漱石の「夢十夜」その6を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は、写実的な描写なんです。実在の人物が登場し、まるで夢では無くて、現実の一場面のように風景を描きだしているんですが、いかんせん思考が完全に睡眠状態の野方図なそれで、なんだか現実っぽい世界の中で、思考だけが夢遊しているような、不可思議な話しになっています。
 
 
ゆめうつつで運慶の仁王像を眺めていると、こういう夢をじっさいに見るんでないかと……。すべて現実の状況下で、脳だけが夢を見ている状態ならこうなりそう、という描写が乙でした。
 
 
夢は確かに、こういう奇妙なことわりがあるんだと、普段まったく意識することの無い思考感覚が呼び覚まされたような読後感でした。ある箇所で強烈な既視感デジャビュがあるのに、未視感ジャメビュもまた生じている。オチで現実の思考のところへ着地してしまった感じがあって、やっぱり夢だったのかと思う。ガウディーのサグラダ・ファミリアは、作者がもう居なくて世界遺産にも登録されているのに、まだまだ制作の途中で、1882年3月19日から着工して144年間かけて創っていて、今日も石工が石を積み上げている。石を彫っている。
 
 
漱石が夢十夜を書いてたのが1908年(明治41年)あたりで、その頃にもじつは、ガウディーはサグラダ・ファミリアを創っている最中だった。
 
 

 
 
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山羊の歌(20) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その20を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
神話的世界と、夕餉どきに家へともどる者の姿とが混じりあって、なんだか好きな詩なんです。
 
 
  摘み溜めしれんげの華を
  ……………………
  土のに叩きつけ
 
 
というのが印象に残ります。
中原中也の詩は、何回かよんで、3度目くらいになにかすんなり入ってくるように思います。
 
 
むつかしい言葉を調べてみました。
 
炊煙
 
 
カドリールというのを調べてみたのですが、おそらくアザゼルの援助者で、人間に武器を作ることを教えた堕天使ではないかと思います。あるいは、詩の中に登場する、女性の名前かもしれません。
 
 

 
 
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什器破壊業事件 海野十三

今日は海野十三の「什器破壊業事件」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この「什器破壊業事件」は、リレー小説「風間光枝探偵日記」シリーズのなかのひとつの短編小説です。そのため最初の数行だけ読みにくいんですけど、この作品だけを読んでもまったく問題無く読める物語です。今回は、探偵の風間光枝かざまみつえが主人公の、架空の物語で、明らかに子ども向けの空想小説なんですけど、科学技術の描写があったりしておもしろいです。入口を通ると身長を自動で測って極薄のモニターに表示する装置だとか、そういえば現代のコンビニには防犯目的で、入口に身長が分かるシールが貼られていて防犯カメラで判別できるようにしてる、よなと思いました。
 
 
50年以上前に空想されていたことが、今ではごくふつうに、町中のいたるところで実用化されてるんだなあーと、思います。
 
 
これはじっさいの1939年とは完全に違う、近未来的な世界が描かれているんですけど、でもこの時代にこういうことをみんなで考えて楽しんでいたのは事実で、こういう娯楽があったんだなあとつくづく思いました。
 
 
成金の屋敷に、女探偵が小間使いに化けて潜入するんです。主人公は、事情をまったく知らされずに、危険な仕事をやらされる。真相は現場で少しずつ解明されてゆく。当時は、殺人事件の報道禁止といった世相があったんです。海野十三はそういうことを知りつつ物語に反映させて書いたのだろうか、と思いました。
 
 
死んでしまった男が発見した事実を、探偵たちはなんとか掘り起こそうとしていた。1939年に、国家によって隠蔽されたかずかずの事件と、海野十三の提示する謎は、どこか結びついているのではないか、と空想しました。
 
 

 
 
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夢十夜 夏目漱石(5)

今日は夏目漱石の「夢十夜」その5を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
夢の中の武士は、すこぶる幻視的な存在で、不思議とみんな背が高い。武士の描写というよりも、古事記か万葉集に出て来る、神話のような時間が描きだされています。
 
 
後半はなんだか、ケルト民話や、ギリシャ神話のように美しい描写なんです。ものすごい迫力でした。
 
 

 
 
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山羊の歌(19) 中原中也

今日は中原中也の「山羊の歌」その19を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
遠藤周作原作の映画『沈黙』を見にいったんですけど、その中に「沼」という言葉が出て来るんです。原作には、沼という言葉が12回記されている……。
 
 
中原中也も、今回の詩で「沼」と書いている。作家は、古き詩人の詩の言葉を暗記していて憶えていて、それで沼と書いたのか。それとも、まったく偶然に同じ言葉が、みごとに配置されたのか。なんだか文学作品同士が静謐な共鳴を成しているように思いました。
 
 
中原中也は、こう記します。
 
 
ためいきは夜の沼にゆき、
瘴気しやうきの中で瞬きをするであらう。
その瞬きは怨めしさうにながれながら、パチンと音をたてるだらう。
木々が若い学者仲間の、頸すぢのやうであるだらう。
 
 
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