今日は島崎藤村の『破戒』その(15)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
丑松は、同朋への差別をまのあたりにしたことで悩みすぎ、対人恐怖症のようになってしまった。丑松は人々を避けて、静かな精舎に一人立ち入る。
もうほとんど、小学校の先生という感じがしないんですよ。ふつうに、こう悩んでいる男にしか見えない。丑松は、志保という女のことを考えている。それから丑松は、僧侶たちの読経を黙って見つめている。
この文章が、じつに印象に残りました。丑松はもう、とにかく黙ってしまっている。しかし、じっと見ているんです。見ることの楽しい、というのは、このような状況下に於いて、大変にリアルだなと思いました。原文はこうです。
丁度丑松の座つたところは、永代読経として寄附の金高と姓名とを張出してある古壁の側、お志保も近くて、髪の香が心地よくかをりかゝる。提灯の影は花やかに本堂の夜の空気を照らして、一層その横顔を若々しくして見せた。何といふ親しげな有様だらう、あの省吾を背後から抱いて、すこし微笑んで居る姉らしい姿は。斯う考へて、丑松はお志保の方を熟視る度に、言ふに言はれぬ楽しさを覚えるのであつた。
…………
……時々丑松は我を忘れて、熱心な眸をお志保の横顔に注いだ。流石に人目を憚つて見まい見まいと思ひ乍らも、つい見ると、仏壇の方を眺め入つたお志保の目付の若々しさ。不思議なことには、……(略)……
何をお志保は考へたのだらう。何を感じたのだらう。何を思出したのだらう。斯う丑松は推量した。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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