草紅葉 永井荷風


今日は永井荷風の『草紅葉』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
これは、永井荷風が戦中戦後のことを思い出して書いた、ごく短い日記のようなものです。永井荷風と言えば断腸亭日乗という日記が有名で、これを42年間書き続けています。
それから『ふらんす物語』と『あめりか物語』が有名で、海外で様々な文化を吸収して日本に帰ってきた作家です。


フランスの文化にすっかり溶け込んで、その美しさを実感し、フランス語でものを考えるようになっていた永井荷風なのですが、その永井荷風がフランスから日本へ帰る途中、哲学上の恐慌状態におちいったことについて書き記した『悪寒』という短編があります。嫌悪感をきっかけとして、批判的立場で自分らの環境を眺めてゆく契機を見出すようになった、そうなのです。くわしくは永井荷風の『ふらんす物語』 をお読みください。


永井荷風は帰国後、結婚しないまま若い娼婦と恋愛をするということを続けていて、何人もの女と付き合って、美食と言うことにものすごいこだわりがあって、当時の「産めよ殖やせよ」「贅沢は敵だ」「欲しがりません勝つまでは」という国民の風潮と真逆の生活を繰り広げています。全国民の総意と、ぜんぜんちがうことをやる、しかも一人で、というのが迫力あるなあと思います。





https://akarinohon.com/migration/kusamomiji.html (約20頁)










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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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それから 夏目漱石

今日は夏目漱石の【それから】を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。これは漱石の三部作『三四郎』『それから』『門』の中の、二番目の作品です。ただし三作品はそれぞれ完全に独立した物語ですから、どれから読み始めてもまったく問題なく読めますよ。



「それから」という小説は、モラトリアム人間である長井代助が主人公です。すでに30歳を迎えとうに働くべき年齢でありながら、まだ社会的義務を猶予されている状態の男。親の資産に余裕があるので働かずにただ理想的な仕事を探しているだけという状態の若者が、この小説の主人公です。




代助には理想があるのですが、その理想と現実との乖離が大きく、まだ社会で働く方法が見出せていない人物です。タイトル通り「それから」どうなるのか、ということが中心の小説です。これは漱石の最高傑作と言われることが多い作品です。




僕はこの小説をかなり読み飛ばして結末を読んでしまったことがあるので、これを機会にちゃんと読んでゆこうかと思います。これはなんというか、まさに今こういう状態なんだ、と言う人が読むとおもしろいんじゃないですかね。




平岡、という男が現実的に働いていて、妻の三千代を養い、そのためにどこか身も心も疲弊しているような印象があります。それとは対照的に主人公の長井代助は働かずに食べていて、心持ちだけは高尚なんです。でも世間から受け入れられない。社会における立ち位置が無い男です。




その男が、まあ金はあるので遊んだり学んだりすることは出来る。遊んだり学んだりしているうちはいいんですが、いずれ破綻することは他人から見れば目に見えている。そういう閉塞した状態で、代助は友人平岡の妻と不倫します。都会に現出した無人島のような世界観で、代助と三千代は二人だけの密会を重ねる。漱石の描く三角関係はとても特徴的で、緊張感があります。




少し長い小説なので、明かりの本の中では、ダ ン テ 神 曲に次ぐ読み応えの本です。十七章からなる大長編です。【一の一】からはじまり【一の二】【一の三】と進み、【十七の三】で完結します。一気読みは不可能だと思いますので、右クリックボタン(コンテキストメニュー)を押して、しおりをはさみながら読み進めてみてください。




明かりの本で読んでみて、これは最後まで読みたいと思ったら、ぜひ本屋さんで「それから」を買ってみてください。






https://akarinohon.com/migration/sorekara.html 約600頁)






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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『正岡子規』 夏目漱石



今日は夏目漱石が書き残した『正岡子規』という短いエッセーを公開します。縦書き表示で全文読めますよ。下の方に掲載した写真は数年前、松山に行ったときに撮った愚陀佛庵(ぐだぶつあん)です。愚駄仏庵は漱石の住処で、ここにほんの短いあいだ、正岡子規と夏目漱石が一緒に住んでいました。2階が漱石の住処で、1階に子規が居て、子規の俳句仲間がよく集まっていました。森鴎外や高浜虚子などもここを訪れました。



漱石に文学者になるように勧めたのは米山保三郎という学生時代の親友ですが、文学の魅力や文学の実際を伝えたのは正岡子規です。正岡子規は俳句や小説を創作し、文学雑誌「ほととぎす」の発行などを精力的に行っており、漱石はこれに感化されて文学へとどんどんと近づいていきました。小説家になる前の漱石ってどんな人かというと、英語の先生なんです。日本一英語に詳しいと言うくらい英語を猛勉強したのが夏目漱石です。




漱石は英語をかなり完璧にマスターしていて、さらに漢詩も書けるという語学のエリートです。ところが、若い頃の漱石は英語の勉強ばかりやっているのがどうも好きではなかったようです。漢詩を作るのが好きで、漢文で旅行記とかも書いています。この漱石の書いた漢文を正岡子規が読んで感心して、二人は仲良くなったのです。




漱石は政府の指示で英国留学をするんですが、その時も「英語の研究をしてこい」と言う指示を受けたんですが、正岡子規との長年の付き合いから、やはり「英語」を研究するよりも「英文学」を研究したいと思い、政府にそのように願い出て、文学を研究するために留学することにします。漱石がイギリスの大学に行った時、英国文学の概要というか基礎知識のような講義しか受けることが出来ず、漱石はこれでは英文学がいったいどういうものかさっぱり判らないと思い、イギリスの下宿に閉じこもり、自分で独学することにしました。




結局、長年活躍する人というのは、どうも独学という部分でかなり熱心にやって居るなあと思います。たとえば現代哲学者で有名な方も、もともとは大学で哲学を専攻していなかった人で、ある日図書館で一冊の哲学書を手にして、これはなんて魅力的な本なんだと感心し、それを熱心に読み始めた。哲学を学んだのはほとんど独学によるものだった、と回想録に書いています。それから脚本家の新藤兼人監督は、永井荷風の「墨東綺譚」を映画化するにあたり、荷風の日記である断腸亭日乗を隅々まで6回読んでストーリーを練り込んでいったと述べています。繰り返し繰り返し読んで、内容を消化してゆく。独学の意欲がすっごい大切なんだなと感じました。




漱石は漱石で、小説の書き方を学校で教わったことはないんです。教わったのは英語。英語をやっているうちに、新しい日本の小説というのはどういうもんだろうかと考えはじめた。しいて言うと、人づきあいを通して少しずつ小説の世界に近づいていったという感じだと思います。






https://akarinohon.com/migration/masaoka_shiki.html (約10頁)












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家霊 岡本かの子



今日は岡本かの子の『家霊』という掌編小説を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。これは、岡本かの子の代表作といわれるものです。



なんだか福田平八郎の日本画のような、どこかで確かにこんな絵を見たことがあったような気がする、記憶の中へと入りこんでゆく物語です。情景がありありと思い浮かび、いつまでも消えない印象がのこるというのがこの小説の魅力のように思います。




ほんのすこしだけあらすじを書きますと、主人公はつい最近、母親のかわりに“どじょう屋”につとめはじめた娘のくめ子です。食事代を払えないほど貧しい、老いた彫金師が、どじょう汁を食べに来る。長生きによい、滋養がある汁を啜りに来る。このご老人が母となにか深い縁があった。


続きは本文をお読みください。




https://akarinohon.com/migration/karei.html (約35頁)











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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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ルバイヤート オマル・ハイヤーム

今日はオマル・ハイヤームという詩人の『ルバイヤート』という詩集を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
オマル・ハイヤームというのはイラン=イスラーム文化の代表者で、天文学や数学に長けた学者さんでもあった人物です。イスラーム文化といえばまず思い浮かぶのはイスラム教の開祖であるマホメット(ムハンマド)です。




僕はイスラム過激派が起こした大きな事件以来、本来のイスラム文化というのがどういうものだったのかというのがとても気になっていて、それで井筒俊彦の『マホメット』を読んで、ほんとうに目からウロコが落ちたというか、「学問って、こんなに面白いのか!」というショックを受けました。マホメットという歴史的人物に魅力があるのは当たり前かもしれませんが、それ以上に井筒俊彦という学者の情熱的な表現に魅入られたんです。




井筒俊彦の『マホメット』は、イスラームの起源を史実通りに正確に解説している書物ではあるのですが、その表現はほとんど映画や物語絵巻のようなダイナミズムがあります。なによりも情感を中心にしてイスラーム文化の勃興を伝えようとしていて、激しい文学に突き当たったような衝撃を受けますよ。イスラム教の起源を知りたいという人は、ぜひこの本を手にとってみてください。イスラム教はどのような理由で発生して、マホメットは人びとのどこを改めんと欲し、なにを警告していたのかがよく判ると思います。




子どもの頃に感動した本というのはどんな人にでもあると思いますが、大人になってから「びっくりした!」と思う本はめったにないかと思います。僕にとって井筒俊彦の本は、それにあたります。




井筒俊彦の『マホメット』について、ほんの少しだけ紹介してみます。
マホメットは、イスラーム教の開祖であり、のちに他文化の人びとからむごたらしいほどに否定されたこともある人物ですが、マホメットが本来求めているものは「他文化に対する攻撃や破壊」というものとはまったくかけ離れたものです。マホメットはもともと商人であり、自分たちの問題を解決しようということを中心にして宗教を興した人物です。マホメットは【長く持続できる商売】の障害となるものを変えてゆこうとした、商売を壊す者の心情を改めさせ仲間に招きいれてゆこうとした、というのがイスラーム教誕生の重要なポイントです。ですから人びとの生活を壊すイスラム過激派と、本来のイスラム文化とはかなり考え方が違います。




マホメットが警告した相手は、無道時代のベドウィンです。マホメットや井筒俊彦は、この血族や闘争を好むベドウィンを否定する立場で描いているのですが、僕はその本を読んでいて、批判されているベドウィンという砂漠の民にどうにもいわく言いがたい魅力を感じてしまいました。




無道時代のベドウィンは砂漠の騎士道を信じていた。ベドウィンはその生活態度において驚くばかり保守的で、血族の命令を信じ、祭りを祝い、掠奪を繰り返し、血で血を洗う闘争をいつまでも繰り返している。それはベドウィンたちが過去に対する激しい執心を持ち、自分たちの過去を痛愛し、自分達の過去に執着しているからである、と井筒俊彦は指摘します。現代の私たちがおりおりするように遠い懐かしい憶い出の世界に赴くのではなく、砂漠の民ベドウィンにとって過去は現実の一部である。




マホメットは、彼らに対して絶叫します。「汝らは、祖先の歩んできた途が明かに蒙昧頑愚の途であることを知りながら、しかもなお過去に執着することをやめないのか」

なぜベドウィンが掠奪と闘争を終えないのかというと、それはその部族が血の繋がりを神聖なものとして絶対視し、血族と共に迷い、正邪善悪の区別なく、いついかなる場合でも血族と行動をともにしているということが、ベドウィンの唯一の在り方だからである、とマホメットは警告します。現代日本でこれを言い換えてみれば、原子力発電所が自然災害に弱いと判ったあとにも、まだ地震大国で原子力発電を推進しようとする態度に似ています。血族の命令に異議を述べられないから悔い改めることが出来ない。




このように激しく否定された砂漠の民ベドウィンであるのですが、このベドウィンというのが詩作や芸能という分野に於いて、ものすごく魅力的なんですね。井筒俊彦は、イスラームがあれほど華やかに成功をおさめたのは、この無道時代に大きな素地が出来上がっていたと分析します。イスラーム繁栄の素地は「無道時代の最後を華やかに彩る青年層の、すでに限界に達した精神状況の裡に求めることができる」(P.44)と井筒俊彦は指摘しています。




彼らは詩作や音楽を愛してやまなかったのですが、その特徴を、井筒はこう表現します。
アラビア砂漠の只中では「眼光射るごとく耳はシマウより敏き」男が理想的人間であった。(p.49)こういう極度の感覚性には長所もあれば短所もある。彼らがその比類なき感覚を以て現実から受けとる個々の形象や映像は実に新鮮で強烈ではあるが、しかしそれを通して彼らが観る世界はそれらの個々の印象の雑然たる集塊であってそこにはなんの論理性もない。


現代エジプト大学の教授としてその学風を敬慕されているアフマド・アミーンは「イスラムの黎明」という興味ある書物の中で、これについて書いている。

「ベドウィンは物のまわりをぐるっと廻って見る。そしてそこに色彩燦然たる真珠の玉を幾つも幾つも見つけ出す。けれどもこの美しい真珠の玉には、それらをつなぐ糸が通っていないのだ」(p.50)





僕は、この指摘がすごく秀逸だなと思うんです。これはなにも、ベドウィンにかぎったことではない。短期的な快適さを手に入れるのは上手でも、長期的に向上してゆく戦略が無い、という事態はほんとうに良くあることだと思います。




「感覚の世界を論理的に統一して把握する」ことが出来ないベドウィンは色彩燦然たる世界を幾つも見つけ出すが感覚的世界を超越することが出来ず、自身らの儚さを痛感して、彼らは「徹底した現実主義者となる」(p.50)と、井筒俊彦は述べます。




マホメットは、この脈絡のない不和が生滅する世界に一本筋を通して、全体を見渡せる状態にして、長々とつづく商人文化を栄えさせました。現実が儚い。自分が儚い。と、ベドウィンが意識しはじめた頃に、イスラム教が興ったのです。

恐ろしい自暴自棄に陥って、ただ官能的快楽の追求のみに日夜を送っていた彼らを、マホメットは一体どんな方法で救済へ導こうとしたのか。詳しくは井筒俊彦の「マホメット」を読んでみてください。







井筒俊彦はマホメットの無常観や、むなしさや、人生の儚さ、哀愁(あいしゅう)を読み解いてゆきます。
そして、マホメット以前とマホメット以後の大きな違いをこのように指摘しています。

  • ベドウィンの人生観においては、哀愁と享楽主義が表裏一体である。
  • マホメットにおいては、哀愁は、悔い改めに通じている。
「なにくそ」と思うことがあった時、その怒りを学問や仕事にぶつけるのか、その怒りを愉楽で自己慰安するのか。この「ベドウィンとマホメット以後」の対比というのは、誰にでもよく当てはまる違いだと思います。そういえば昨日の私はベドウィンのようであった、今日はすこし悔い改めに通じている気がする、と思う人は多いんじゃないでしょうか。




オマル・ハイヤームという詩人は、マホメットがイスラム教を興した400年後に、全く新しい視点でベドウィンのような人生観を肯定しようとし、享楽主義をむしろすすめ、過去への悪しき執着から生じる不和を解消しようとした詩人です。オマル・ハイヤームが「酒を飲もう」と述べているのは、それはイスラム法で飲酒を明確に禁止しており、それに抵抗するという意図があってしきりに酒を飲むことを推奨しているようです。酒にひたることだけは止めたほうが良いとは思いますが、悲嘆からの解放を目指して何らかの享楽を用いることに、異を唱える現代人は居ないはずです。






https://akarinohon.com/migration/rubaiyat.html (約80頁)


 
 
amazon 井筒俊彦「マホメット」
https://www.amazon.co.jp/マホメット-講談社学術文庫-井筒-俊彦/dp/406158877X


calil 井筒俊彦「マホメット」
https://calil.jp/book/406158877X






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道楽と職業 夏目漱石

今日は夏目漱石の『道楽と職業』という講演録を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。夏目漱石には、代表的な講演録が3つほどあります。『私の個人主義』と『現代日本の開化』と『道楽と職業』です。夏目漱石が学生さんや一般の方々にちょっとした授業をしたような雰囲気の講演録です。これからこの3つの講演を1つづつ紹介してゆく予定です。



夏目漱石の小説をまずはじめに楽しみたいのなら『坊っちゃん』や『三四郎』がお薦めです。『草枕』なども明かりの本で読めますよ。『道楽と職業』は1911年の明治四十四年に行われた講演の記録です。明治四十四年というと、文明開化を遂げてナショナリズムが高揚し戦争へと向かってゆく時代です。「満州」というのが三十五年後にどのように捉えられるか判らない時代のことです。三十五年後の未来が、誰にも判らなかったんですが、漱石はそういった未来を見据えて、各個人がどういうことを尊重して生きてゆくべきかを指南しています。



帝国主義へと向かってゆく時代には、夏目漱石の親友である正岡子規も志願して従軍記者となり満州へ赴いたりしていますし、森鴎外も軍国主義です。多くの文化人が、イギリスの植民地主義を真似て強国を目指していました。私たちは1945年のことを纔かに知っていますが、2045年のことはほとんど全く想像できないですよね。ですが、漱石は35年後のおおよその世界を想像できていたのではないかと思います。漱石が現代に生きていたら、現代社会をどう読み解き、私たちに何を教えるだろうか、ということを想像しながら読んでゆくと、いろいろと思索できるのではないでしょうか。漱石の思想は、時代を超えて私たちに学問と日常の大切さを伝えているように思います。



僕は「仕事がない」と思っている人間ですが、同じように「仕事がないかも」と思っている学生さんには具体的に楽しめる話だと思います。漱石は『素晴らしい大組織』の話しをするよりも、私たちのじつに身近な話のほうにこそ哲学性や学問性が含まれていると示唆しています。実際にこの講演録を読んでゆくと、授業と言うよりもなんだか落語を聞いたような気分になりますね。









https://akarinohon.com/migration/dorakutoshokugyou.html (約60頁)

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星の銀貨 グリム兄弟



今日はグリム兄弟の『星の銀貨』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。

これは喜捨についての物語です。




さいきん、ルターという宗教改革者の本を少しだけ読んだのですが、ルターは自国のキリスト教に関して、利権ばかりを大切にする教会のありかたに異を唱え、キリストはこのような世界を望んではいなかったはずであり、キリスト者は、もっとよりキリストの教えに近い聖書へと帰ってゆけと述べて当時の宗教界を大きく変えてゆきました。ルターは罪から逃れたいという思いの強い人びとに対して、贖宥状(しょくゆうじょう)を買い求めることはないと説き、このように述べます。




「けれどもわたしは勧告する。あなたがもし何かを寄進献納し、祈願し、断食したいと思うなら、あなた自身に善いことを求める意図をいだくことなく、ほかの人びとがこれを喜びとすることのできるように、惜しみなく施しあたえ、かれらのためになることのできるように、これを行うべきである。そうしたらあなたは真のキリスト者である」
「あなたは信仰においてすでに十分である」というルターの言葉が印象的です。





この、グリム兄弟の『星の銀貨』では、少女が献身的に人びとにつくします。
もーなんにもない、という状況のあとにこそ何かがあるという話です。
キリスト教圏の子供たちがこれを読んで育つんですよね。
この童話に親しんで育った子どもは、やはり献身的な大人になるように思います。
ほんの5頁ほどの童話です。






https://akarinohon.com/migration/die_sterntaler.html (ページ数 約5枚)








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