白痴(41) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その41を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回は、将軍の「不幸な最後」の前半部分の事件が描かれています。将軍はムイシュキン公爵にとつぜんこう話しかけた。

大事なことをお話しいたしたいんで。つまりですね、ムイシュキン公爵、態度にまごころがこもって、感情の気高いことを信頼し得る人として、あなたに打ち明けようと思い立った(略)大事なお話を聞いていただくのに、いつがよろしい

将軍は、話しが重大なので、今すぐには伝えられないのだと言うんです。
 
 
それからレーベジェフは、身近に大金を盗んだ泥棒が居ると宣言して、いろんな人を犯人扱いしたわけですけど、けっきょくは自分の過失で金を落としただけだった。本文こうです。

フロックを掛けておいた椅子の下にあったのです。してみると、紙入れがポケットから床の上へ滑り落ちた…………
 
ただの単純なミスなのに、レーベジェフはまだ、ポケットに穴が空いたのは隠謀で犯人に金を盗まれたのだと言いはじめる始末なのでした。
 
 
将軍は何かとても重大なことを、主人公のムイシュキン公爵に告白しようとしている。次回に続きます。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
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与謝野晶子詩歌集(32)

今日は「与謝野晶子詩歌集」その32を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「ゆあみして泉を出でし」という歌を読んでいて……与謝野晶子は、紫式部くらい高貴な人にも、それからとても貧しい人にも、どちらにも通ずる詩世界を作ったことが、最大の魅力なんだ、と思いました。
 
 
「うぐいす、そなたも雪の中」という詩を読んでいても感じるんですけど、近代は豊かさと貧しさの交わる中間地点でもあったので、自分たちが持っていて気が付かなくなった豊かさを再認識させてくれるところがあるんだと思うんです。薔薇の言葉も美しかったです。
 
 

 
 
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自然と人 有島武郎

今日は有島武郎の「自然と人」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これから有島武郎の文学を読んでゆきたいと思うのですが、とりあえずは随筆をいくつか載せていってみようと思います。
 
 
今ちょうどドストエフスキーの長編小説を読んでいるんですけど、ドストエフスキーは自然界をほとんどまったく描かなかった、にもかかわらず物語の中心に大地という概念を置いた。その謎を追っていたら、北海道の自然界を長らく見てきた有島武郎がこう書いていました。

人は自然を美しいといふ。然しそれよりも自然は美しい。人は自然を荘厳だといふ。然しそれよりも自然は荘厳だ。如何なる人が味到し色読したよりも以上に自然は美しく荘厳だ。
 
ロシアと言えば、ゴーゴリが「外套」で、厳しい自然界の内で生きる男を描いた。ドストエフスキーはそのゴーゴリの外套の中ということをずっと考えてきた。暖かい島国では田中一村のような自然界の豊かな描写が積み重ねられてゆく。いっぽうで冷害や凍土が農村に重大な問題をもたらす土地と時代なら、もっと自然界との厳しい対峙が物語の中心に置かれる。雪国と文学というのはどういうものだろうかと思いました。
 
 

 
 
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白痴(40) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その40を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 

ドストエフスキーは、人物の書き分けが明瞭なのにもかかわらず、作中で人物同士の対立と和解が繰り返し起きていて、心情が二転三転するところが、読んでいて引き込まれます。
 
  
ガーニャと療養中のイッポリットは、前回はげしい諍いをしたのに、和解の態度を示している。病者を見舞って、療養のために家を貸すという提案もした。イッポリットはどうも、死なずに済んだようである。
 
 
ドストエフスキーの登場人物は、悪態をつきまくるんですけど、それがなんだか、喧嘩するほど仲が良い、という感じで展開する。将軍は、イッポリットに妙な具合にぶつかっている。その悪口の言い方が変な調子なんです「この男はまるでネジクギだ!」とか言うんです。本文こうです。

そうだ、螺旋釘ねじくぎだ!わしは何の気なしに言ったんじゃが、これは——螺旋釘じゃ!なぜというて、こいつはわしの胸を螺旋釘でえぐるんじゃから、それに全く相手の見さかいもなしに……螺旋釘のように……
 
「こいつは螺旋釘だ!」と将軍は叫んだ、「こいつはわしの心や魂を、螺旋釘でえぐるんじゃ!こいつはわしに無神論を信じさせたくてしようがないんじゃ!やい、青二才!貴様なんぞが、生まれてもいない前に、わしはもう背負いきれぬほどの名誉をになっていたんだ。貴様は二つにぶっ切られた嫉妬やきもちの虫だ、……


将軍には周囲に居る人がぜんぶ敵に見える。実の息子とも対立している。ガーニャはついに怒りだした。原因は、将軍のはげしい虚言癖にあった。将軍は自分を良く見せかけようと、存在しない部下の話しをしつづけたんですが、そんな人はこの世に居ないでしょうと、イッポリットは事実に基づいて諌めたんですよ。そうしたらウソがバレたことが腹立たしくて、将軍はしきりに怒りはじめてしまった。本文こうです。

取るにも足らない侮辱が、彼をして憤激の極に達せしめる機縁とならなければならないようなことになったのである。
 
それで将軍は家を出ていった。じつは病者イッポリットは、将軍のことを頭がおかしくなったとは思っておらず、こう発言しています。

あの人は用心深く、疑い深くなってきて、何から何まで探りを入れて、実にことばをつつしんでいますよ……。

イッポリットの病状が回復してきて、あの恐ろしい悪夢も、彼の中からだいぶ消え去っていて、知的な人間に戻っている、その発言と描写がすてきでした。
 
 
彼はすでに新しい療養場所を見つけたので、ガーニャやワーリヤがいるところから出てゆく。対立していたガーニャと最後の会話を繰り広げる。本文と関係無いですけど、ぼくは立つ鳥跡を濁さず、という生き方をしたいんですけど、たいてい濁して逃げる感じになってしまう。
 
 
イッポリットはちゃんと人々と別れて新天地へ行きたい。最後の会話って、なんだか、そうか、うーむ、そういうのは誰でもあるわけで、ガーニャは悪いことばかり考えてる奴なんですけど、なんだか親近感がわくなあと思いました。前回、ガーニャとイッポリットでこういう対立があったんです。イッポリットの発言はこうです。
 
(※イッポリット)のほうから、できるだけ簡単に。僕は今日は、二度か三度、やっかい者だというおとがめを受けましたが、それは不公平ですよ。あなた(※ガーニャ)こそ、僕をここへび寄せて、僕を係蹄わなにかけたじゃありませんか。そして、僕が公爵に恨みを晴らそうとでもしているようにお考えになったのです。(※カッコ内は注釈)
 
イッポリットはガーニャに対して「あなたに良心を思いおこさせておいて、別れて行くということと、それに、僕たちが、今お互いに実によく理解し合っているということだけで十分なんです」と宣言する。ところが病床を用意してあげたガーニャの妹ワーリヤは怒りはじめる。イッポリットはこう、立場のことがどうもわかってない。困ってるところをちゃんと世話してくれた人々にたいして「大目に見てあげる」とか言うんですよ。上下関係の概念がないのか、と思って笑いました。イッポリットは異様な若者なんです。本文こうです。
 
僕はね、一生涯、僕をいじめ通して、こっちでもまた一生涯、憎んでいたあの無数の連中の代表者を、せめて一人だけでも愚弄ぐろうしてやって、もっともっと落ち着いて、天国へ行きたいと、こう思いましたよ。

愚弄をしない人だけが、天国に行けるんじゃないのかなとか、そういうことはイッポリットは考えない。ガーニャだけは愚弄してやろうと、そう考えている。
 
 
「あなたは傲慢な凡庸性そのものです。自己を疑うことのない、泰然自若たる凡庸性そのものです。あなたは月並み中の月並みです!」って彼の妹が居る前で言うんです。ムチャクチャなんです。もうすぐ死ぬっていうと美談にしますよねえ、普通は。ドストエフスキーは牢獄にいる連続殺人犯の最後を見ていて……こういう美化しない人間を書くようになっていったんだろうなあとか、空想しました。
 
 
一方で恩を仇で返されたかたちのガーニャとワーリヤなんですけど、べつの幸福の可能性が転がり込んできたことについて話しはじめた。美女アグラーヤから、ある謎めいたお願いごとをされた。その内容はまだ判らない。次回に続きます。
 
 

 
 
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与謝野晶子詩歌集(31)

今日は「与謝野晶子詩歌集」その31を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 

なにとなく君に待たるるここちして出でし花野の夕月夜かな

……というすてきな歌をよんでいて思ったんですけど、人生を確実に歩めた人はこう、空想がそのまま将来の現実にうまく繋がっていっている、ように見えます。ダメ人間が恋の歌を歌うと、ただのストーカーだと思われてしまう。心の内部の部分では、おそらく与謝野晶子のように美しくてウキウキするような世界がたいてい広がっていると思うんです。でも現実には上手くいかないから、内面もダメであぶない人なんだと誤認されてしまう。文学は作者の思いを読むこともできるわけで、その機能についてなんだか考えていました。「だやさしきは明日あすの時」という一文が印象的な詩も美しかったです。
 
 
むつかしい言葉を調べてみました
 
 
おばしま



 
 
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自信のあるなし 宮本百合子

今日は宮本百合子の「自信のあるなし」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
近代文学の魅力のうちのひとつに、掌編のエッセーがいっぱい読める、というのがあると思うんです。これは紙の本や新聞が日本中に普及し始めた時期ならではの、あたたかさと熱量と新しさがあったからだと思います。新聞が日本で普及しはじめたのは明治の文明開化ごろだそうですけど、それ以前には日本中に文章を普及させることなんてムリだったし、紫式部や鴨長明やあるいは漱石のように、パイオニアにしか作品を他者に送れなかった。現代で言うと10年前にSNSが登場してきた頃の楽しさみたいなものが、近代のエッセーにはあるんじゃないかと思います。
 
 
これはほんの2ページほどの随筆で、宮本百合子の教え諭すようなところと、鼓舞するような発言が興味深かったです。十五年戦争の不安な世相も伝播してくるんですけど、自信があるかないかを考える時に……
 

行為の動機の誠実さに自分の心のよりどころを置く
 
という言葉が印象に残りました。
 
 

 
 
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白痴(39) ドストエフスキー

今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その39を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回から最終章なんです。あと11回で完結します。ドストエフスキーが今回言及しているゴーゴリの『結婚』というのはこの本です。
  
 
ドストエフスキーは……ごく普通で、平凡すぎる人を、物語に登場させないというのが、小説空間から「真実らしさを失うことになる」し「奇怪な、架空の人物のみによって満たすのは嘘らしくもなり、しかもおそらくは、おもしろくもなくなるであろう」と作中で言及しはじめるんですけど、僕が読んだ範囲では、ドストエフスキーの登場人物はみんな奇怪きわまりないと思います。
 
 
とくにぼくはガーニャという男が異常なんだ、この異常さはちょっとえげつないと思ってたんですけど、作家ドストエフスキーはなんと、ガーニャが普通で平凡すぎて魅力の無い男なんだと明記してるんですよ。ウソでしょと思いました。wikipediaの人物評にも、ガーニャのことを『イヴォルギン将軍の長男。エパンチン家の秘書。腹黒く欲張りで、癇癪持ちの羨望家。7万5000ルーブルを手にするためナスターシャと政略結婚をしようとしている』って書いてるんですよ。本文には、もっとひどいことを書いていたり、意外と男らしいところがあってかっこ良かったりして、おもしろい男なんですよ。
 
 
おそらくドストエフスキーの人生では、完全に破綻した男(死刑囚や賭博負債者)というのが近くにほんとうに居たんだろう、と思いました。ガーニャや美女アグラーヤというのは、いつの時代にも居る、なんというか自滅しないで生きていける人間だとは思うんですよ。だから友人にガーニャそっくりなところを見出すことはありえると思うんです。
 
 
主人公ムイシュキンや暴漢ロゴージンや、ヒロインのナスターシャは、どうやっても普通には生きられないところがある。そういう点でオリジナルな人間性がある。ドストエフスキーは今回、最終章の冒頭なのに作者として登場して一人語りをしているんですけど、破綻していない普通の人間への批判として、彼らは「偏狭」である、ということを言ってるんです。ハッとしました。平凡な人のうちですてきな人には聡明さがあって幸福を掴みうるけれども、いっぽうで偏狭な人は、自分では持っていない非凡さや独創的人間性を発露しようとして、よりいっそう思想の無い偏狭な、ニヒリストの人生になってしまう。うわー、辛辣な指摘だと思いました。ドストエフスキーみたいな独創的な創作を出来るわけが無い自分たちとしては正論すぎて反論できない。ドストエフスキーによる無思想な人への批判はこうなんです。
 

心の中に何か人類共通の善良な気持を、ほんの露ほどでも感ずれば、社会発展の先頭に立っているという感じは自分以外の人にはわかるまいと、すぐに思い込んでしまう。また、何かの思想をほんのちょっとでも聞きかじるとか、何かの本の一ページでもほんのちょっとめくって見るとかすれば、もうこれは『自分自身の思想』であって、まぎれもなく、自分自身の頭の中に生まれたのだとさっそく、信じてしまう。
 
こういうことを思うことはたしかにあるよなあと、恥ずかしく思いました……。ゴーゴリもこういう男のことを描いているんだと、ドストエフスキーは述べます。ガーニャは「偏狭でニヒリストな普通人」というよりかはもっと良い「聰明な普通人」なんだそうです。
 
かような人たちは非常に長いあいだ、若いときから相当の年輩に至るまで、時おり、実にばかなまねを続けたりする

長いこと、これからもばかなことをしてゆかなくてはならない自分には才能がないという深刻な、絶ゆることのない自覚と、同時にまた、自分はきわめて独立的な人間なのだと信じようとする押さえがたい要求は、ほとんどまだ少年のころからひどく彼の心を痛めつけていた。
 
ドストエフスキーの述べる平凡で普通な人って、ロシア全土くらい範囲が広いんだなと思いました。壮大すぎてワケが分からないんですけど、ドストエフスキーにとって非凡というのはどういうもんなんだよと思ったら、ダイナマイトを発明するノーベルかアメリカを発見するコロンブスみたいな人だそうです。ガーニャは、地位の高い女性と結婚をして、貧困の人生から抜け出したいと思っている。しかし卑劣なことを実現してまで先に進もうとは思っていない。

アグラーヤが自分のような身分の低い者のところへ来ようなどとは、いまだかつて本気になって考えたこともない
 
ぼくはガーニャが、ナスターシャから押しつけられた不正な金というのをもらった時に、これを苦渋の決断をして受け取らなかったことに感動をしたんですけど、本人はこう思っています。

公爵にこの金を返したことを、あとになって彼は何百ぺんとなしに、後悔した。そのくせ彼はこのことを絶えず誇ってもいたのである。が、あのときペテルブルグに公爵が残っている間の三日間というもの、彼は本当に泣き通し……(略)……彼は職務をすてて、悲哀と憂鬱とに沈むばかりであった。
 
さらには同情してくる公爵を、憎んだりもした。けれどもけっきょくは自分の生き方をちゃんと続けられる。ガーニャには気の強い妹ワーリヤがいるのですが、彼女は家のためにエパンチン家で仕事をしているんですけど、そこで諍いが起きていて、さらに悲しい兄妹ケンカに発展している。妹はどうもほんとにムイシュキン公爵が、エパンチン家の娘と結婚することになりそうだ、という噂を聞く。ガーニャはこう考えている。父は「泥棒で、酔っ払い」で、自分は「乞食」で「妹の亭主は高利貸し」。ワーリヤは、アグラーヤがどうしてムイシュキン公爵と結婚しようとしているのか、そのことをこう読み解いています「あの人は公爵のことで、家じゅうの者を悩ましているだけでも楽しいんです」
 
 
ガーニャは家族や他人への悪態しかつかないし、作者のドストエフスキーから平凡で普通の能力しか持っていない人間だと批判されているし、良いところが無いように思うんですけど、どうも読んでいて共感するんです。彼は破滅しかねないギリギリのところに、辷り落ちかねない。そこでなんとかまっとうに生きていこうとしているように見えます。
 
 
ガーニャの行く末が妙に気になるんです。彼には華々しい成功はたぶんありえない。破滅もしない、地味な人生になりそうなんですけど。なんだか気になります。悪人ほどの行動力や意思はなくって、悪いことばっかり考えている。病者イッポリットに対しても不快な心理を抱いているし、もっとも愛すべき存在のはずの妹にも悪い感情ばかりを吐露している。読んでいて良いこと無しなのに、ぼくはどうもこのガーニャが好きなんです。そのガーニャの居所に、災いを抱えた人々が次々に押しかけてきた。次回に続きます。

 

 
 
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